ラップ調で思いの丈を語った窪塚洋介

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 巨匠マーティン・スコセッシ監督が、遠藤周作の小説を映画化した「沈黙 サイレンス」が1月21日、全国342スクリーンで公開初日を迎え、出演した窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈が東京・TOHOシネマズスカラ座での舞台挨拶に出席した。

 スコセッシ監督が約28年ごしに実現させた悲願の作品。キリシタンが弾圧されていた江戸時代の長崎を舞台に、若き宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)らが自らの信仰心と向き合っていく姿を描いた。浅野は、物語のテーマを体現する重要な役であるキチジローを演じた窪塚に対し、「僕はキチジローの大ファン。良いなあ、良いなあ! と思っていた」と語りかける。すると窪塚も「僕も家で(浅野のセリフ)『転ぶ』と言っています」と応じ、「マネしたくなるボイスです」とほほ笑んでいた。

 さらに登壇陣には、「“弱者”がテーマのひとつとなる今作が、社会に問いかけるメッセージとは?」との質問が。窪塚は「今から話すことは、きっと新聞に載らないと思います。だからこそ、ここの皆さんに届けると思って、よく聞いてください」と話したうえで、時にラップやレゲエのリズムを織り交ぜながら胸中を打ち明けた。

 「2011年の3月11日に東北大震災が起こって、そこでたくさんの弱者が生まれました。その後もたくさんの弱者が生まれています」。熱弁は止まらず、「なのにこの国の政府の連中は、他の国には1兆円、2兆円、3兆円、俺らの汗水たらした税金をばらまき倒して、自分の国の弱者には目も向けない。震災というか人災、原発に関しても、あれだけ危ないと言ってもまた再稼働している」と痛烈に批判し、「そうした世界のなかで、この映画を公開します。神が沈黙しているなら、自分の心のなかにある答えを見つけて、前に進んで生きていかなければならない」と訴えた。

 続けて、身振り手振りを交え「この映画を通して、皆さんが自分の答えを見つけて、それは何かはわからないですが、自分の人生をまっとうする心を持つことが、これからとても大切なことだと思う」と説き、「菜奈ちゃんが言うように、俺もハッピーな映画が大好き。でもこの重い映画が、僕らを導くこともあると思います」と述べる。そして「マーティン・スコセッシも命をかけて戦い、この映画を世界中に届けています。その気持ちを汲んでもらえたら俺も嬉しいし、この映画を通してより良い明日が来ることを、信じて疑いません」と切なる願いを込めると、神妙に聞き入っていた客席から万雷の拍手が沸き起こっていた。