石丸前監督からバトンを受け継いだ布部新監督は、Jクラブで初采配を振るう。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 悲願のJ1昇格へ向け、京都は新体制で2017年を迎えた。指揮官には布部陽功監督を迎え、選手も約半数が入れ替わっている。昇格プレーオフで涙を呑んだ昨季を経て、活発的なシーズンオフとなった。
 
 クラブはまず、監督交代に着手した。石丸清隆前監督は順位を一昨年の17位から5位へ引き上げ、チーム作りでも守備組織の構築など一定の成果を挙げている。一方でストライカー不在もあって得点力を欠き、勝ち切れない試合も多く、2年契約の途中ながら無念の退陣となった。

 この決断には賛否があった。継続性を訴える選手もいたが、クラブは『石丸前監督の築き上げた守備に、攻撃面を上積みして自動昇格を目指す』という方針の下、布部監督にバトンを託すことになった。
 
 戦力も大幅な入れ替えが行なわれた。昨季のチーム最多得点者である山瀬功治らを契約満了とし、堀米勇輝や菅沼駿哉といった中心選手も流出した。一方で経験豊富な即戦力を多数獲得。同時にU-19日本代表の岩崎悠人など若手選手もチームに加入し、そこに昨季から在籍する中堅選手らを加えて、2017年のチームが構成されている。
 
 野口裕司強化部長は「センターラインを固めたい。既存の選手に加えて(田中マルクス)闘莉王、ハ・ソンミン、ケヴィン(・オリス)を獲得し、大黒(将志)にも戻ってきてもらった」と狙いを語った。8名の若手を期限付き移籍で武者修行に送り出すなど、若手育成というより「今年、とにかくJ1というスタートラインに立てるように」(山中大輔社長)するための補強と言える。
 
 新加入選手で大きな注目を集めているのが闘莉王だ。長らくリーダー不在と言われたクラブにおいて、昨年の主将を務めた菅野孝憲らとともに、勝者のメンタリティを持つ選手としてチームを牽引する役割が期待される。

 新外国人はふたりが加わった。ハ・ソンミンは昨年にFC東京と名古屋でプレーした兄のハ・デソンと同じボランチの選手。このポジションは層が薄く、広島からの期限付き移籍を延長した吉野恭平とともに主軸としてのパフォーマンスが求められる。
 
 クラブ初のベルギー人選手となるケヴィン・オリスはKリーグでの実績を持つ長身ストライカー。空中戦だけでなくパワフルな右足やゴールに向かうプレーが魅力だ。また、手薄だったサイドハーフには伊東俊や仙頭啓矢を獲得。他にも競飛王エスクデロを今季はサイドで起用するプランがあり、地元に帰ってきた小屋松知哉も登録がMFに変更されたことからサイドに回る可能性が高い。
 16日に行なわれた新体制発表記者会見では、今季のチームスタイルについて『サイド攻撃』というキーワードが飛び出した。さらに布部監督は「(昨季のチームが目指した)主導権を握るサッカーは踏襲したい。守備もゾーンでやるが、マンツーマンでやる場合もある。臨機応変に相手の良さを消すこともやっていく」と話している。1月中に2試合、2月も国分キャンプで清水やFCソウルらとの練習試合が予定されており、実戦を通じてチーム作りを進めていく。
 
 今季のチームに未知数な部分が多いのは否めない。2年続けて半数近い選手が入れ替わったことで、継続性を伴ったチーム作りの難易度は上がっている。闘莉王らの存在はプラス作用が期待される反面、個性の強い選手が揃った陣容をコントロールする能力が指揮官には求められる。
 
 コーチとして高評価を集めた布部監督も、Jクラブを率いるのは初めてだ。理想はチームを戦う集団へと鍛え上げて、勝利という結果を積み重ねてゆき、高橋祐治ら若手選手が実戦やベテランのプレーから多くを学んで成長していく……というものだが、はたして京都の2017年はどのようなシーズンになるのだろうか。期待と不安を抱えたチームは、8年ぶりのJ1昇格を目指してスタートを切った。

取材・文:雨堤俊祐(サッカーライター)