小松菜奈の女優魂に迫る!

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『渇き。』(14)での女優・小松菜奈の本格演技デビューは、鮮烈なものだった。そのミステリアスな魅力で観客の心を鷲掴みにし、堂々と女優道を歩き始めた。彼女の次なるチャレンジの舞台は、ハリウッド。巨匠マーティン・スコセッシ監督の『沈黙ーサイレンスー』(1月21日公開)で、隠れキリシタンの女性役として抜擢されたのだ。またしてもハードな役どころを任された彼女だが、「過酷な役の方が燃える」とにっこり。20歳にして、驚くべき女優魂を持った小松菜奈の“今”に迫る。

【写真を見る】スコセッシ組で体当たりの熱演を見せる小松菜奈。隠れキリシタンの女性を体現した/[C]2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved. Photo Credit Kerry Brown

スコセッシ監督が遠藤周作の原作と出会ってから28年、長年に渡って映画化を希望したという待望のプロジェクトが実現した本作。長崎に潜入した若き司祭が目撃する日本人信徒の苦悩を通して、人間にとって本当に大切なものは何かと問う歴史大作だ。

小松が演じるのは、悲劇的な運命を辿ることとなる隠れキリシタンの女性・モニカ。無垢に神を信じることで、残酷な弾圧を受けることとなる。小松は「その場の環境や、相手のお芝居を受けることで感じ方も変わってくる。現場で出てきた感情を大事しています」と、現場の空気を吸い込んで役作りに挑んだ。

本作の撮影当時、小松は19歳。この年は、「スコセッシ組の撮影もあって、『ディストラクション・ベイビーズ』や『溺れるナイフ』など撮影が続いていた」と言う時期だ。『ディストラクション・ベイビーズ』では菅田将暉に殴られ、蹴られるキャバ嬢役。『溺れるナイフ』も「公開されるか不安だった」と言うほど壮絶な現場だったそうだが、精神的・体力的にもハードな現場が続いた1年を「めまぐるしく自分の感情が変わっていった」と振り返る。

そんな中、『沈黙ーサイレンスー』の撮影に入った頃は「迷いの時期」だったそう。「お芝居のよい、悪いって何だろうとずっと思っていて。迷っていたんです。英語でのお芝居も自信がなくて」と明かすが、日本を離れて、台湾での撮影となった本作の現場では共演者やスタッフと話す時間がたくさん持てたそう。

「方言指導の方に『自信がない』という話をしたら、『まだ若いんだし、吸収していけばいいんだよ』と言っていただいて。『お芝居のいい、悪いは自分で決めることじゃなくて、観た人にとって、感情が入るかどうかが重要。オーディションに受かってここまで来ているんだから、もっと自信を持ちなよ』と声をかけてくださって。その時、私すごく泣いてしまって」と現場で不安を溶かすような言葉をもらった。「答えがわからないから、それを探していくことも成長していくということなのかな」。スコセッシ監督との仕事はもちろん、そこで過ごした時間は貴重なものとなった様子だ。

それにしても、これだけ過酷な役柄が続いている若手女優も珍しい。「過酷な役は怖くない。むしろ楽しいし、その方が燃える!」と笑う小松。「過酷な作品があると、次もできると心の準備ができるんです。19歳だった1年は、そういう作品が続いていて、忙しいなかにもいろいろなことを吸収できたと思います」と強い眼差しを見せる。

仕事に挑む上でのポリシーは「いつも全力、全身全霊」。「求めてくれる人がいることは、すごく幸せです。若いうちに色々な経験をさせていただいて、すごくうれしい。たぶん、若いうちの方が、怒られたりしても恥ずかしくないし、何でもやってみようと思えるのかもしれないなと思って。怒られてわかったこともたくさんあります。映画の現場では、怒られるのも愛情があるからだと思えるし、今は壁にぶつかってナンボだと思っています(笑)」。

ミステリアスな佇まいからクールなイメージのある彼女だが、あふれる思いを聞けば聞くほど“熱血派”。やってみたいのは、「心の闇を見せるような役。いつもの自分とは違うから、それだけにいろいろなアイディアも考えられる」と女優業への意欲は増すばかり。体当たりで前進し続ける小松菜奈から、ますます目が離せない!【取材・文/成田おり枝】