韓国の国政介入事件で、ソウル中央地裁は特別検察官による最大財閥サムスングループの事実上のトップに対する逮捕状請求を退けた。特別検察官は捜査方針の見直しを迫られたが、韓国メディアは「次のターゲットはロッテとSK」とも報じている。資料写真。

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2017年1月20日、韓国の国政介入事件で、ソウル中央地裁は19日、特別検察官による最大財閥サムスングループの事実上のトップ、李在鎔サムスン電子副会長に対する贈賄容疑などの逮捕状請求を棄却した。財閥の力を見せつけた形で、特別検察官は捜査方針の見直しを迫られたが、「次のターゲットはロッテとSK」との報道もある。

韓国メディアによると、李副会長はグループ承継のために不可欠だったサムスングループ内のサムスン物産と第一毛織の合併をめぐり、15年7月に朴大統領がサムスン物産大株主で政府所管の国民年金公団を通じ合併のための便宜を図った見返りとして、大統領と親しい崔順実被告が設立したミル・Kスポーツ財団に204億ウォン(約20億円)の資金を拠出するなどした。支援を約束したものまで含めると総額430億ウォン(約42億円)に上るという

特別検察官の捜査チームは賄賂授受の当事者を崔被告とし、朴大統領と崔被告が経済的・実質的な利害関係にあったとして、大統領の職務と関連した贈賄容疑などを李副会長に適用。「朴大統領と崔被告の共謀関係に対しては物証を十分に確保している」とも説明し、贈賄などの立件に自信をのぞかせていた。

サムスングループは韓国の10大財閥のトップで、売上高は300兆ウォン(約29兆円)を超え、従業員は約25万人。韓国全体の輸出額の20%以上を占めるとされ、逮捕には韓国経済に及ぶ影響を懸念した慎重論も根強かった。

特別検察官は世論にも押され、「国家経済に及ぼす状況も重要だが、正義の確立はさらに重要」として、16日に逮捕状を請求。これに対し、ソウル中央地裁は長時間の審理の結果、「現段階で拘束の事由と必要性、相当性を認めがたい」として、請求を棄却した。特別検察官チームは捜査方針の見直しを迫られ、李副会長の在宅起訴や逮捕状の再請求を検討するとみられる。

こうした中、聯合ニュースは「サムスンの次の捜査対象はロッテとSKか」と報じた。崔被告の二つの財団に出資した金額はSKグループが111億ウォン(約10 億7000万円)、ロッテグループが45億ウォン(4億3000万円)とされる。

聯合ニュースによると、SKは横領罪などで服役中だった崔泰源会長の特別赦免、ロッテはソウルでの免税店事業の認可などの懸案を抱えていた。崔会長は15年の光復節(8月15日、日本植民地からの解放記念日)の特別赦免により、出所した。赦免権は大統領の特別権限だ。

今回の逮捕見送りについて、特別検察官チームは「大変遺憾。必要な措置を取り、揺らぐことなく捜査を進める」とコメントしたが、財閥の利権構造に切り込む捜査にブレーキがかかったのは否めない。聯合ニュースは「SKやロッテなどの財閥への捜査拡大の計画にも狂いが生じることは避けらないとみられる」と伝えている。(編集/日向)