AP/アフロ

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 20日(日本時間:21日未明)、米大統領就任式が行われ、ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任したが、宣誓に続いて行われる就任演説でトランプ氏がいったい何を語るのか、世界中の注目が集まっていた。

 就任演説でトランプ氏はまず、「エスタブリッシュたちは自分たちを守りました。しかし、国民を守ることはなかった。彼らは勝利を収めましたが、皆さんの勝利にはなりませんでした」と語り、トランプ氏の支持層とされる中西部の製造業に従事する白人労働者層への配慮をうかがわせる発言を行った。

 続けて以下のように語り、米国の富が海外に流出することにより、米国民が犠牲を強いられているとの考えを示した。

「何十年にもわたって、私たちはアメリカの産業を犠牲して、海外の産業を豊かにしてきました。他の国の軍に補助金を出してきました。そして、アメリカの軍は今疲弊してしまっています。私たちは、他国の国境を守ってきました。何兆ドルものお金を海外で使ってきました。一方、アメリカの社会基盤は老朽化して、他の国が豊かになり、アメリカの豊かさや自信は遥か彼方に遠ざかってしまいました。次々に工場が閉鎖され、何百万人ものアメリカの労働者が取り残されたことなど、誰も見向きもしなくなりました。中間層の豊かさがなくなり、家が奪われてしまいました。そしてそれが、世界に散らばっていってしまったのです」

 加えて、トランプ氏が大統領選期間中から強調してきた「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」の考えを改めて強調した。

「新しい信条をすべての国民に広めていきたい。新しいビジョンが、これから私たちの国を率いていきます、この日から『アメリカ・ファースト』という信条が、私たちを導いてくれるのです。貿易、税金、移民、外交に関するすべての決定は、アメリカの労働者に、アメリカの家族にとって有利になるようにします。私たちの国境を守る必要があります。私たちの製品、私たちの雇用を奪われてはならないのです。保護することで繁栄を遂げることができるでしょう」

 このほかにも、「私たちは2つのシンプルなルールに従っていきます。『バイ・アメリカ(アメリカ製品を買え)』『ハイヤー・アメリカ(アメリカ人を雇用せよ)』。(他国には)このようなことを理解していただきたいと思います」などと語り、諸外国に対しても米国優先の姿勢で接する意向を示した。

●前代未聞

 今回のトランプの就任演説の内容について、全国紙記者はこう解説する。

「国内面ではエスタブリッシュ層と労働者層を分断。さらには、他国のせいで米国の社会基盤が老朽化して、さらに失業者があふれているかのように語り、米国と他国を分断するような発言をしています。前大統領のオバマ氏もその前のブッシュ氏も含め、歴代大統領は就任演説では『統一』を訴えるのが通常ですが、逆に『分断』を訴えるなど、まさにトンデモな演説だといえるでしょう」

 また、別の全国紙記者は語る。

「トランプ氏はこれまで、日本の駐留米軍撤退を主張してきましたが、もしトランプ氏が『駐留米軍=日本への軍事補助金』と捉えているなら、『アメリカが他の国の軍に補助金を出して、他の国の国境を守ってきた』と非難している対象は、まさに日本でしょう。トランプ氏は当選後初の公式会見(11日)でも日本を名指しで批判していましたが、就任演説で同盟国を非難するなど前代未聞でしょう。このほかにも、『保護することで繁栄を遂げることができる』『バイ・アメリカとハイヤー・アメリカを諸外国に理解していただきたい』『アメリカの産業を犠牲して、海外の産業を豊かにしてきた』など、支離滅裂な内容が目立っていたという印象です」

 これから4年、トランプ新大統領はアメリカという大国をどのように舵取りしていくのだろうか。
(文=編集部)