安倍首相は12日から17日までの日程で南シナ海周辺のアジア・太平洋地域4カ国を訪問。人工島建設など海洋進出を強行する中国を念頭に「法支配の重要性で各国首脳と一致した」と成果を強調した。

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2017年1月20日、安倍晋三首相は12日から17日までの日程でフィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナム4カ国を訪問した。南シナ海周辺を一周するツアーで、人工島建設など海洋進出を強行する中国を念頭に「法支配の重要性で各国首脳と一致した」と成果を強調。対中包囲網づくりを着々と進めた形だ。

最初の訪問国のフィリピンでドゥテルテ大統領とマニラで会談した安倍首相は、南シナ海問題について「法の支配や紛争の平和的解決を主張したい」と強調。これに対し、ドゥテルテ氏は「あらゆる分野で日本を支持する」と応じた。テロ対策の一環としてフィリピン沿岸警備隊への小型高速艇提供を盛り込んだ交換公文の署名式も行った。

日比首脳はドゥテルテ大統領の地元ミンダナオ島ダバオでも会談した。大統領は米比同盟の重要性に言及し、「米比の協力を継続していく」との方針を伝達。首相は「アジアの平和と繁栄を確保していく上で米国の関与が不可欠だ」と述べ、中国の南シナ海進出を意識した日米比3カ国の連携維持を訴えた。

豪州訪問ではターンブル首相との会談で、南シナ海をめぐり、「深刻な懸念」を共有するとともに、軍事拠点化や緊張を高める行動の回避を求めることで一致。防衛協力の推進でも一致し、会談後、自衛隊と豪軍の物資融通の対象に、新たに弾薬提供を含める日豪物品役務相互提供協定(ACSA)改定の署名式に立ち会った。自衛隊と豪軍の共同訓練など「より深い防衛協力」を追求する新たな協定づくりも目指すという。

東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の加盟国インドネシアのジョコ大統領との会談では、南シナ海問題で連携強化を確認。安倍首相はインドネシアの沿岸警備能力向上や離島開発を積極的に支援する方針を伝えた。

首相は海上自衛隊の救難飛行艇U32などの輸出を含む防衛装備品・技術移転協定の締結交渉加速を提唱。中国漁船の違法操業事案のあった南シナ海・ナツナ諸島周辺での水産分野の協力も提案した。

最後の訪問国ベトナムでも安倍首相はフック首相との間で、ベトナムが中国と領有権をめぐり対立する南シナ海問題について「法の支配と平和的解決の重要性」を確認。安倍首相はベトナムの海上警備能力のため、巡視船6隻の建造費など総額1200億円の円借款供与を約束した。

今回の安倍首相のアジア・太平洋地域4カ国歴訪について、中国外交部の華春瑩報道官は16日の記者会見で、「日本の指導者が懸命に(中国と各国との)離間を仕掛け、いわゆる『地域の緊張』を誇張している。下心があり、不健全だ」と不快感を表明。その上で「中国と東南アジア諸国の努力下で南シナ海情勢は良い方向に向かっており、既に対話を通した解決の正しい軌道に戻った」とも指摘し、日本の「介入」をけん制した。

国営新華社通信は日本メディアの報道を引用しながら、「安倍首相は政治カード、経済貿易カード、安全保障カードの3枚のカードを出し、丸め込みを続ける」と批判。さらに「フィリピン訪問中はマニラの日本大使館前で、フィリピンの慰安婦被害者らや民間支援団体が抗議集会を行い、日本が慰安婦の歴史を直視し、被害者に賠償するよう呼び掛けた」とも伝えた。(編集/日向)