心的外傷後ストレス障害(PTSD)の元兵士、家族を惨殺して自殺(出典:http://www.theobserver.ca)

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イラクやアフガニスタンに赴き、戦地では何度も危険な目に遭い、仲間の多くが命を失ったが自分は助かった…そんな彼らが祖国に帰還して軍を退役した後、かつての朗らかな性格を取り戻すのは容易ではないのだろう。勲章を授与されたところで、多くの帰還兵が苦しむと言われる心的外傷後ストレス障害(PTSD)。またしても忌まわしい事件がカナダから飛び込んできた。

カナダ・ノバスコシア州のアッパー・ビッグ・トラカディーという村で、元兵士のライオネル・デズモンド(33=写真の前列右端)が家族を次々と殺害し、自身も自殺するという事件が起きた。亡くなったのは、高校時代からの交際を実らせて結婚した妻のシャナさんと娘のアリーヤちゃん(10)、母親のブレンダさん(52)、そしてライオネルである。

アフガン戦争を経験して帰還したライオネルは、2007年にPTSDと診断されて軍を退役し、Facebookのページでは自身を脳震盪の後遺症として精神的に病んでしまった“悪魔のライオネル”などと称していた。モントリオールで専門治療を受けたが、2015年7月には美しい海に囲まれたノバスコシア州の平和でのどかな村に家族とともに移住。その環境が彼の心を癒してくれるものと誰もが期待したが、その願いは叶わなかった。

母親のブレンダさんとライオネルの葬儀は歴史ある「セント・ピーターズ」というローマ・カトリック教会で営まれ、カナダ軍関係者を多数含む300名ほどが参列。費用についてはカナダ政府が負担し、ライオネルの棺には星条旗が被せられた。遺族は「2004年9月にアフガニスタンに行くまでのライオネルは、誰にも親切で愛情深くユーモラスな若者でした。戦争経験者はあらゆる意味での支援が必要なのに、ライオネルはそれを十分に受けていなかったように思います」などと語っている。

イラク・アフガン戦争を経験した帰還兵による自殺や事件の話題はあとを絶たない。手足を失うなど重傷を負ってしまった者、うつ病を発症する者、性格が変わり家族との関係がうまく行かなくなった者、悪夢など睡眠障害を訴える者、そしてそれらを理由に酒や処方薬、ドラッグに強く依存していく者。きっかけは決してこればかりではあるまい。

出典:http://www.theobserver.ca
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)