チャップリンの実孫が“笑い”を語る!

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伝説の芸人の波乱万丈の人生を描く映画『ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜』が1月21日(土)より公開となる。フランス史上初の黒人芸人ショコラと、彼を支えた相方の白人芸人フティットのコンビ愛が綴られるが、そのドラマとともに注目してほしいのが、フティットを演じる俳優ジェームス・ティエレだ。実は彼、喜劇王チャーリー・チャップリンの実孫。運命的な役柄を得た本作では、人を笑わせる“芸人の悲哀”を見事に体現している。

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そこで来日を果たしたティエレを直撃。本人も「4歳からサーカスに出演している」という舞台人である彼に、爆笑をとる難しさや、祖父チャップリンの笑いの魅力について話を聞いた。

本作は、20世紀初頭に実在した芸人コンビの生涯をもとに描く人間ドラマ。サーカスの舞台でコンビ芸を見せるショコラ(オマール・シー)とフティットのパフォーマンスはエネルギーに満ち溢れ、当時の生き生きとしたエンタテインメント史を浮かび上がらせる。一方では、彼らが抱えていた苦悩や葛藤が丁寧に描き出されるなど、笑いと涙の共存する感動作となった。

ティエレは「芸人たちの人生と、ショコラ、フティットの人間ドラマ。そのコントラスがとてもよく描けていると思うんだ。お互いの気持ちがすれ違ってしまう様子がすごく胸に迫ったよ」と完成作に胸を張る。

サーカスの舞台を知っているだけに、本作に飛び込むことには不安もあった様子だ。「サーカスの部分をどう見せるかが不安だったんだ。映画のなかで描かれるサーカスと、その実態とがかけ離れてしまってはいけないと思ってね。僕は4歳からサーカスに出ているので、リアルに描きたいという責任感を感じたんだ」。しかしその不安は、オマール・シーとリハーサルを重ねることで払拭され、「僕らなりの喜劇スタイルを見つけた」と話す。

劇中では、黒人芸人ショコラと白人芸人フティットというかつてないコンビが、サーカスで大衆の人気を集めていく。瞬く間にトップの座に躍り出る彼らだが、ショコラは人種差別の壁にぶち当たる。次第に、「白人のフティットに蹴られて、笑いが起きる」という笑いの構造にも「バカにされている」と苦悩していくようになるのだ。

ティエレは「笑わせること自体は、滑稽であることを見せること」と持論を話す。「笑いとは、滑稽さのなかに自分を置くこと。そこには残酷な部分が入ってくることもあると思う。蹴られたり、叩かれたりと犠牲になる人を見て、観客に笑いが起きることってあるよね。僕たちの持っているユーモアの原点が、そこにあるからなんじゃないかと思う」。

しかし、「ただ蹴ったり、叩いたりすればいいものではない」と笑いの複雑さについて、こう続ける。「この映画では、フティットがショコラを転ばすシーンもある。でもその時に、転んだことが面白いんじゃなくて、転んだ時のショコラの表情が肝心なんだ。フティットはショコラに『その時の表情を作れるようにしないとダメだ』と教える。僕にはその言葉こそ、真実だと感じる。転ぶことが重要なんじゃなくて、転んだ人がどんな表情をするかが観客を笑わせているんだ」。

ティエレ自身もストイックに芸に打ち込むタイプのようで、“笑い”についての話となると一層、熱がこもる。「僕も自分の舞台でいろいろな芸を披露するんだけれど、観客が笑うポイントって毎回違うなと思うんだ。今日はこんなことをやったらウケた。でも次の日に同じことをやってみてもウケない(笑)。何が違うのかっていうことは、いまだにミステリーだよ。『爆笑をとる』というけれど、やっぱり未だにどこで爆笑が起きるかは予測不可能。演目ごとに戦略を練り、今までの教訓を見直しても、お客さんの反応は毎回違うものなんだ。だから観客の反応を見て、微調整を加えていくんだ」。

「5歳の子どもも笑うし、70歳、80歳のお年寄りも笑うような、原始的な笑いが好き」だと言うティエレ。では、祖父チャップリンの笑いをどんなものだと感じているだろうか?「彼は20世紀の最も偉大な映画人だと思う。彼の作品はいつも笑いと涙が共存していた。その部分においては、彼は唯一の芸術家だったんじゃないかな」。そして「とにかく彼はものすごく仕事をする人だったようだよ。いつもいつも仕事をしていたと聞いている」と祖父に思いをはせるように、穏やかな笑顔で教えてくれた。【取材・文/成田おり枝】