アメリカのマッキンゼー・アンド・カンパニー社が2000以上の職種を調査し、今後ロボット化されそうな仕事を予測しました。技術的な点も踏まえ、どのような働き方が自動化されるターゲットになっていくのでしょう。もしからこれから手に職をつけたり、転職したりするのは避けたほうがいい分野もあるかも?

●自動化できるものは何でも自動化してしまおう…というほど単純ではない!

ロボット化する際、もちろん技術的に可能であることが大前提だそう。ただ、自動化するための開発コストや、その仕事の需要と供給状況など、その他にも考慮しなければならない点があります。

例えば時給10ドルの料理人の代わりに、お料理ロボットを置くことは技術的には可能かもしれませんが、高い開発費をかけてロボットを作るのと人件費とでは、どちらの方が安いのかというようなこと。あとは倫理的・社会的な問題も挙げられます。手術を終えた患者が目覚めたとき側にいてもらいたいのはきっと、ロボットよりも看護師さんですよね。

●身体を動かす仕事が最も自動化されやすい

5分の1の仕事は、予測可能な環境で身体を動かす、もしくは、機械を操作する作業で、事前に予想できる範囲の変化しか起こらない仕事なんだそう。これらの職の4分の3はすでに技術的に自動化が可能で、特に製造業や飲食業が最もロボット化されやすいと言われているよう。すでに工場ではロボットが物を箱詰めしたり、レストランでは自動注文システムやウェイトレスロボットが試されています。

他には、データ収集も自動化される可能性が高いのだとか。どの職種においても、労働時間の3分の1程度はデータを集めたり処理したりするのに使われているそうです。これらが自動化された場合、金融・保険・アパレル業界に影響する可能性があるよう。人間が職を失う訳ではなく、仕事内容が少し変化すると考えられています。例えば住宅ローン・ブローカーは書類の処理に90%の時間を割いているそうです。今後はその分の時間をクライアントとのコミュニケーションに使えるようになるかもしれません。

●ロボットはベッドメイキングが苦手

ロボットは予想できない状況が苦手なのだとか。難しい作業には建設現場でのクレーン操作、街中でのゴミ拾い、ホテルでのベッドメイキングなどが挙げられます。ホテルの部屋では宿泊者が服を脱ぎ散らかしたり、枕を床に落としたり、物が予測不可能な場所に散乱される可能性が高く、ロボットにメイドの役割は難しいよう。ただ、技術者たちは予測できないシチュエーションにも対応できるロボットを開発中で、今後は状況が変わってくる可能性も。

●狙い目は教師と歯科衛生士!?

人をマネジメントしたり教育したりすることが、最も自動化され辛いと言われています(自動化の可能性9%)。次に難しいのがクリエイティブで計画や結論を求めらる仕事(自動化の可能性18%)、次いでお客様や元請け企業など関係者とコミュニケーションが必要な仕事(自動化の可能性20%)なのだとか。具体例としては、経験が必要なソフトウェア開発、メニュー制作、PR文章の作成、お客様にお似合いの靴を勧めること、などが挙げられます。

看護師の仕事がロボット化される確率は30%未満。さらに歯科衛生士の場合は13%未満とのことです。そして最も自動化されにくいのは教育部門なのだそう。教えるということは専門知識を要し、さらには人との関わり合いが欠かせないもの。現時点ではロボットが苦手とする分野のよう。

●これからどうなるの?

研究に携わったメンバーは「機械は人間の働き方に影響を与えますが、完全に人間から仕事を奪うことはないだろう」との見解を示しています。

ただ、テクノロジーは進化し続けており、今回の研究はあくまでも現時点での技術を前提とした話。今後はロボットも人間のように予測不可能な状況で判断をしたり、人間のような複雑な言語能力を得たりする、とも言われています。

ロボットと仕事を取り合う時代が来るなんて…。私たちにできるのは常に最新の情報を確認しながら、人間だからこそ提供できるクリエイティビティや温もりを探求していくことなのかもしれませんね。