今冬に最も効果的な補強をしたクラブは?充実の鹿島と神戸、玄人集団の鳥栖も注目だ

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 各チームがキャンプインし、移籍もだいぶ落ち着き、それぞれのチームの表情がかなり見えてきた。
 
 今回の補強で「強烈だなぁ」と感じたのが、鹿島だ。
 
 チャンピオンシップ制覇とクラブワールドカップ準優勝、天皇杯優勝でグンと逞しくなったチームに、これでもかというぐらいのレギュラークラスを獲ってきた。金崎夢生や柴崎岳ら海外移籍が噂される選手がいることを見越しての補強だろうが、ペドロ・ジュニオール、金森健志ら新戦力と土居聖真、鈴木優磨、遠藤康ら既存の選手の間ではバチバチと火花が上がるレギュラー争いが展開されるだろうし、レオ・シルバが加入するボランチ戦争も熱い。刺激的にも戦力的にもJリーグでナンバー1の補強だろう。
 
 FC東京も大久保嘉人や永井謙祐などが入って楽しみだが、個人的に堅実に補強を進め、いやらしいチームになりつつあるなと思ったのが、神戸だ。
 
 攻撃陣では昨年11得点を挙げたP・ジュニオールが鹿島に移籍したが、今シーズンは田中順也(柏)、大槻周平(湘南)、大森晃太郎(G大阪)、ウエスクレイ(アトレティコ・ミネイロ)が加入。ボランチには高橋秀人(FC東京)、DF陣には昨年7月から期限付き移籍だった橋本和(浦和)が完全移籍となり、さらに渡部博文(仙台)らが加入した。

 田中、大槻、大森の3人に共通しているのは、運動量が豊富で攻撃も守備も非常に頑張れる選手ということだ。大森は技術とスピードがあり、ウエスクレイはそれに加えて決定力もあり、ネルシーニョの好きなタイプ。大槻は湘南でFWと2列目でプレーしていたし、田中も攻撃であればどこでもこなせる。前から連動してプレスをかけて素早く攻めるチームの特徴にフィットする選手たちだ。

 FWの軸はレアンドロだが、彼らの加入でその脇を固める選手の層が渡辺千真ら既存の選手を含めてかなり厚くなった。スタイルがそれぞれ異なるので、かみ合えば攻撃のバリエーションが増え、得点もかなり伸びるだろう。
 
 ボランチは昨年、鳥栖から獲得した藤田直之とニウトンを軸にし、三原雅俊を加えて3人で上手く回してきたが今回、高橋秀人を加えて盤石になった。
 
 CBは高橋祥平が抜けたが渡部が入り、岩波拓也、伊野波雅彦、北本久仁衛がおり、バックアップはもちろん3バックにも対応できる駒が揃った。
 こうして補強した選手の顔ぶれを見ると4-4-2をベースに4-3-3や3-4-2-1など対戦相手によってシステムを変更するネルシーニョのサッカーに柔軟に対応できる選手が集まったと言える。
 
 融合という点でも上手い補強だ。
 
 田中と渡辺は柏時代にネルシーニョの元でプレーしており、昨年7月に加入して左SBに定着した橋本もそうだ。経験を重ね、力をつけてきた教え子たちを集め、自らのやり方を素早く浸透させ、組織的な戦術をより機能させて勝ち続ける。今シーズンに賭けるネルシーニョの本気が見える。
 
 優勝あるいはトップ3に入るには、得失点差20点以上がひとつの目安になる。
 
 昨年の神戸は56得点、43失点で得失点差は13だったが、今年は得点をさらに伸ばし、失点を抑えるだけのメンバーが加入している。今シーズンの神戸は、かなりやりそうだ。
 
 もうひとつ気になるチームが、鳥栖だ。
 
 守備が安定した昨年は11位(得点36、失点37)。順位は2015年(得点37、失点54)と同じだが、失点を前年よりも17点減らして得失点差は‐1に抑えた。キヌ・ミヌが移籍し、戦力ダウンかと思いきや、MF原川力、小川佳純、DF小林祐三ら仕事人を補強、さらにベルギーでプレーするFW小野裕二の獲得が決定的だという。豊田陽平、鎌田大地が健在で小野がそこにどう交わっていくのか。玄人集団となった鳥栖のワクワク指数は非常に高い。
 
文:佐藤 俊(スポーツライター)