お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、派遣社員として制作会社に勤める伊藤純子(仮名・29歳)さんさんから。

「都内一人暮らしです。27歳のときに、200万円のローンを組んで美容整形と脂肪吸引をしました。利子を含めたその返済が月々3万円、あと2年半残っています。現在、貯金が100万円ほどあるのですが、一気に払いきってしまったほうがいいでしょうか?」

森井じゅんさんに教えていただきましょう。

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金利が高い医療ローン

借金は、その名の通り、お金を借りること。どこで、誰から借りるにしても、「お金」という、同じものを借りることになります。しかし、A社から借りるのとB社から借りるのでは、金利も返済期間も返済方法も変わります。世の中にはお金を貸してくれるところは星の数ほど存在し、その名前も形も様々です。融資、カードローン、消費者金融、リースなどなど。キャッシングや分割払い・リボ払いなど、親しみやすく感じる名称もあると思いますが、すべて「借りているお金」で、高い利子をつけて返さなくてはならないものです。名前や形が変わっても、借金であるという事実は変わりません。

相談者さんのケースもそうですが、美容整形など保険のきかない手術は、個人の支払いが高額になります。そのため、美容系クリニックや美容外科の多くは、各々、独自のローンを用意しています。
これらは、「医療ローン」「医療クレジット」「メディカルローン」などと呼ばれており、多くはノンバンク系の信販会社が扱っています。施術を受けるクリニックが提携するローンは、クリニック従業員も説明に慣れているため、話の流れで気軽に申し込めてしまいます。一方で、審査はあるものの、簡単に、早く借りられてしまう点が問題でもあります。こうしたローンは金利の面で非常に不利な場合が多く、一般的には、カードローンよりも高い金利負担になってしまうからです。

脱貧困! にはローン返済優先がカギ

個人の家計の場合、基本的には、貯金よりもローン返済を優先することをおすすめします。なぜなら、貯金によって受け取ることのできる利子(=プラスのお金)とローンによって支払わなければならない利息(=マイナスのお金)を比べた場合、利息であるマイナスの方が圧倒的に大きいからです。

利息の成長は雪だるま式である一方、現在元本が100万円程度の貯金により受け取れる利子は数円です。本来は、借金を返済してからが貯金・貯蓄のスタートラインです。

その100万円は余剰資金ですか?

しかし、相談者さんのようなケースの場合には注意が必要です。100万円の「貯金」は本当に貯金・貯蓄でしょうか。
貯金や貯蓄は、基本的に「なくなっても影響なく生きていける」もののことをいいます。例えば、急な出費や冠婚葬祭。これらに対応する蓄えがほかにあるでしょうか? 生活費や急な出費、冠婚葬祭費用、そして病気や失業に対する準備金などが混ざったお金が100万円ということであれば、それを借金の返済に充ててしまうことはとても危険です。

急な状況をしのぐために、また新たに借金をしなくてはいけなくなってしまう可能性があるなら、100万円は手元においておくべき。返済や借入を繰り返すことで借金癖ができてしまう人も多いのです。キャッシング・カードローン・分割払い・リボ払い・その他もろもろの形の借金やローンには関わらないことがベストです。でも、もし何かの拍子にそのような借金・ローンができてしまった場合には、ひとつひとつきっちり返済すること。間違っても返済のために新たな借金やローンに頼らないこと、が鉄則です。そして、そういったものに頼らないためには、緊急時に対応できるだけの資金を手元に残しておく必要があります。

OLは生活費の半年分を手を付けない「貯金」に

では、緊急時に対応できるだけの資金とはどれくらいでしょうか。失業保険などに頼れる場合で少なくとも生活費の半年分、自営業などの場合には、最低1年分の資金は持っておきたいところです。ここで一番大事なことは、やはり、自分の生活費を把握しているか、自分がいくら使っているのか、そのうちいくらが本当に必要なものなのか、冷静に数字として知っているかです。ムダ遣いには罪悪感がつきものですので、無意識に自分で隠してしまいます。その結果が目的や用途がぐちゃぐちゃになったブラックボックスのような口座です。

お金の管理ができていない人の通帳の特徴

お金がしっかり管理できているかどうかは、通帳を見ればわかります。

(1) 収入をそのまま普通預金に入れ、他に分類・移動している形跡がない

(2) 少額の引き出しが多い

(3) 引き出しの際に手数料がかかっている

(4) クレジットカードの支払いが収入のわりに高額

(5) よく分からない引き落としがある

(6) 使っていないカードの年会費の引き落としがある

いかがでしょうか。上のひとつでも当てはまればイエローカードですよ。

リボ払いはお得ではない

現在では、様々は形でお金の貸し出しが行なわれており、それらは気軽に手を出せてしまうものばかりです。たとえばリボ払い。自動リボ設定でポイント○倍、などの謳い文句につられて、リボ設定にしてしまったりしていませんか? 実際、リボ払いでポイントが稼げてお得! と思っている人も多いのです。

リボ設定したことを認識していなかったり、忘れてしまっていると、数か月後・数年後に「限度額を超えているのでこのカードは使えません」となり、問い合わせると借入残高が100万円になっていた、なんてことも珍しくありません。しかも金利は15パーセント。これまで一括で払ってきたと思っている、引き落とし明細を見ても引き落とし額のどこまでが元本の返済でいくらが利子なのかよく分からない、という人もいます。そして、気が付けば、利子にまみれた借金だけが残っている……。

これは他人ごとではありません。お金の管理ができていない上に、お得という言葉に弱い人にとって、現代社会は落とし穴だらけです。知らずに……、流れで……お得だと思って……、と言い訳したところで、落とし穴に落ちてしまえば人のせいにできません。返済義務は本人に降りかかってきます。

お金を向き合うことは、自分の出費や浪費と向き合う辛い作業かもしれません。でも、落とし穴に落ちる前に、自分に必要なお金と実際に自分がどのようにお金を使っているのかを把握し、リスクを回避してください。

もし今借金があるのなら、新たな借金を絶対に作らず、きちんと返す。同時に、ブラックボックスに入れっぱなしになっているお金をクリアにする。それが最初の一歩です。頑張りましょう‼

ローン返済を見直して!



■賢人のまとめ
生活に使わない「貯金」ならローン返済にあててもOK。でも、生活資金になる可能性ばある場合には、こつこつローンを返済すること。そして、2度とローンを組まないことです。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。