「柔らかいパワードスーツ」が歩行者のエネルギー消費を約23%削減。歩行障がいの補助などを想定

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米ハーバード大学ウィス研究所が、着用できる"柔らかいパワードスーツ"を開発しました。足腰に負担のかかる状況下で足のエネルギー消費を約23%節約させることが可能とうたい、用途としては何らかの原因で歩行に障害を持つ人や、脳性麻痺・パーキンソン病を患う患者などへの適用を想定しています。

研究チームは、2016年にそのコンセプトを発表しており、米国防高等研究計画局(DARPA)の資金援助を得て約1年間かけて実用性の確認を実施してきました。どのように効果を発揮するのかを簡単に説明すると、歩行動作において片方の足が地面を蹴る瞬間に、スーツが足首部分に下方向への力をアシストするというもの。

研究チームのリーダー、コナー・ウォルシュ氏は、「計7人のテスターに着用して得たデータを調べた結果、アシストの力を足首に伝えるようにしたときが、歩行時のエネルギー消費をいちばん少なくできた。約23%のエネルギー消費の削減という結果は、これまでに調べた外骨格スーツやパワードスーツのなかでもっとも効率的だ」としています。

 

 

もちろん、足首の踏み出しをアシストするだけでは、下半身の安定性が崩れてしまい、かえって歩行がしにくくなる場合もあります。そして下半身を安定させるためには、腰から膝にかけての筋肉および腱が協調して機能する必要があります。研究チームはこのしくみを模倣するため、パワードスーツの足首部から腰にかけてをストラップで接続し、スーツに仕込んだセンサーが往復動作のピークを完治して、足首に適切なタイミングで踏力を供給するしくみとしました。

研究チームは今後もさらにテストと改良を積み上げる必要があるとしています。まず、現在のシステムでは動力や電子機器部分(約8kg)が、トレッドミルの横に置かれた状態なので、これを"着られる"ようにしなければなりません。

さらにテスターの歩行が、アシスト量によって変化することがわかっています。これは歩行に必要な踏力の10〜38%とばらつきがあり、アシスト量でなく、テスターの歩き方そのものに左右されている可能性が考えられ、こうしたばらつきの原因把握と補正なども研究しなければならないとしています。

 

従来の外骨格型スーツやパワードスーツというと、重たくメカメカしいアシスト機構をどっこいしょと装着するイメージが強かったものの、この"柔らかいパワードスーツ"などのように、次第に衣服の下(または上)に着用してもわからないものも開発されつつあります。こうした歩行アシスト器具が実用レベルになれば、体力の衰えた高齢者やパーキンソン病患者、脳性麻痺を患う人びとがひとりで歩行できるようになる可能性も期待されるところです。

一方でDARPAが資金を投じているということは、当然ながら軍事用途も考えられています。ただ、もしこのスーツが軍事用途に使われるようになるのなら、未来の戦場には映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」でトム・クルーズが着用していたようなゴテゴテ系パワードスーツや特撮系スーツは登場しないのかもしれません。