閉店セールがおこなわれるオールドネイビー

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 その終幕はあっけないものだった。

 4年前に鳴り物入りで上陸した米アパレル大手「GAP」の姉妹ブランド「オールドネイビー」(OLD NAVY)が2017年1月22日を以て日本から完全撤退することになった。

◆進出から僅か4年余りで撤退に

 オールドネイビーは2012年7月にダイバーシティ東京に日本初出店。日本のみならずアメリカ国外への初出店であり、出店当時は大きな注目を集めた。

 オールドネイビーのキャッチフレーズは「世界一楽しいファッションストア」。GAPと同じく「アメカジ」をテーマにした店舗でありながらGAPよりも低価格帯であるため当初は話題を呼び、「GU、アベイル、ライトオンなどを脅かす存在になるのではないか」とも言われた。その後、全国のショッピングセンターを中心に出店攻勢をかけ、僅か3年ほどで53店舗を展開するにまで成長した。

 しかし、GAP本体の営業不振もあり、GAPはリストラの一環として2016年5月に「オールドネイビーを日本から全面撤退させる」ことを発表。出店から僅か4年での敗退となってしまった。

 GAPの営業不振は何も日本に限ったことではなく、2016年1月には北米地区の「GAP」の3割弱にあたる175店舗を閉鎖している。しかし、いくら米GAP本体が経営不振と言えども、50店舗以上を展開したアパレルブランドが僅か4年余りで全面撤退に至った原因は何であろうか。

◆「格安チャネル」でありながら「セールを連発するGAP」との差別化難しく

 オールドネイビーは元々「低価格」を売りにしており、その低価格ゆえにGAPよりも利益率が低かったと言われるのは当然であるが、不振の理由はそれだけではない。

 まず1つは、日本における「GAPのブランドイメージ」だ。

 GAPの日本上陸は1995年、東京・銀座への出店であった。それから約20年の時が流れ、日本国内でのGAPの主戦場は郊外型ショッピングセンターと移っている。近年、そういったGAPの店舗の前を通ると、かなりの確率で「SALE」の文字を見かけることができ、今や「GAPの商品はセール時にしか買わない」という人も多い。それほど日本国内では「GAP=セールを頻繁におこなう店」というイメージが定着しているのだ。

 もともとGAPの価格帯(通常価格)はユニクロ、しまむら、ライトオンなどよりも上である。そのため、一見客には「価格が高い店」という印象が付いてしまう。一方で、GAPの店舗を良く使う客ほどセールのタイミングを見計らって購入するため、「半額以下の商品しか買わない」という人が大多数を占めるのではないだろうか。半額以下だと、オールドネイビーの類似商品よりも安く買えることさえ往々にあり、早速オールドネイビーの存在価値は失われてしまうことになる。

◆すでに入り込む余地のなかった日本市場

 もう1つ、理由として挙げられるのは、オールドネイビーの出店方針である。

 オールドネイビーが日本に上陸したのは2012年7月のこと。その店舗は多くが1,000〜2,000峙蕕如一般的な食品スーパーほどの面積である。

 そのため、1号店こそ東京お台場に構えたものの、大都市の一等地にはオールドネイビーの店舗面積を確保できるような手頃な物件は少なく、東京都心で旗艦店と呼べるような店舗は2015年に出店した吉祥寺店(武蔵野市)のみであったほか、東京23区内ではお台場と蒲田のみ、大阪市内では大阪駅のみ、仙台市、広島市、福岡市などに至っては出店することさえも適わず、最終的に多くの店舗は郊外型ショッピングセンターの「準核テナント」というかたちを採っていた。

 郊外型ショッピングセンターにとっては、こうした有名ブランドの大型店は集客の要となるうえに安定した賃貸収入の確保にも寄与するため、喉から手が出るほど欲しい存在だ。しかし、2012年ごろは改正まちづくり3法によりイオンモール、アリオなどの大型ショッピングセンターの新規出店が少なくなりつつあった時期でもある。そのため、オールドネイビーの店舗の多くは、既存ショッピングセンターの「新館増床」や、集客のテコ入れのための「大規模改装」に合わせて出店することが多かった。そうした出店例のなかには、一時殆どのテナントが撤退して話題となった「ピエリ守山」や、僅か4年で閉店した大阪駅ビル内「大阪三越伊勢丹」の後継店「ルクアイーレ」も含まれていた。