2017年、私のイチオシ「Jリーガー」(3)
■都倉 賢(北海道コンサドーレ札幌/FW)

 近年のJ1では、J2を制して昇格してきたクラブが、いきなり好成績を残すケースが続いている。2011年の柏レイソル、2014年のガンバ大阪が昇格1年目で優勝を果たした例は別格としても、昨季は大宮アルディージャが5位、一昨季も湘南ベルマーレが8位と健闘した。

 となると、今季は北海道コンサドーレ札幌に期待、である。

 昨季の札幌は、総失点33という堅守を武器にJ2優勝を果たした。無失点試合は実に20を数える。当然、J1を戦ううえでも、まずは堅守が支えとなるだろう。

 だが、言い方を変えれば、堅守という武器があるだけに、いかに得点を奪うかが、勝ち点を積み重ねていくためのカギでもある。どれだけディフェンスでがんばっていても、どこかで得点できなければ勝つことはできないし、結果が出なければ、気持ちを切らさず戦い続けることも難しくなる。

 そこで期待したいのが、FW都倉賢(とくら・けん)だ。

 昨季、都倉はチームトップとなる19ゴールを挙げ、エースストライカーとして札幌のJ2優勝に大きく貢献した。J2得点王のFW鄭大世(清水エスパルス/26得点)には及ばなかったものの、堂々得点ランキング2位でのJ1挑戦である。

 身長187cmと恵まれた体格の都倉は、もともとフィジカル面では日本人離れしたものがあった。ピッチに立つ姿を見ていると、一瞬外国人FWかと見紛(みまが)うほど。何とも言えない"雰囲気"を漂わせる。

 実際、見た目に違わず、相手DFを押しのけるようにゴール前に入っていったり、強烈なシュートを文字どおりゴールネットに突き刺したりと、規格外のプレーを見せてくれることも少なくなかった。

 これは、いずれ大化けする。

 そんな期待を持って彼を見てきたのだが、結論を言えば、ポテンシャルを持て余したまま現在に至る、というのが率直な印象だ。

 2005年、川崎フロンターレU−18からトップチームに昇格した都倉は、川崎ではJ1通算わずか6試合の出場で無得点。2008年シーズン途中でザスパ草津へ移籍することになったが、2009年にはJ2で23ゴールを記録してブレイクし、翌年、J1のヴィッセル神戸への移籍を果たした。

 ところが、ここで再びJ1の壁に阻まれてしまう。神戸在籍4年のうち3年をJ1でプレーしたが、トータルで12ゴールという結果しか残せなかった。

 その後、2014年にJ2の札幌へ移籍。コンスタントにふた桁ゴールを重ね、昨季は再ブレイクと言っていい数字も残したが、そんな都倉も今年6月には31歳になる。一般論で言えば、全盛期は過ぎた。もはやJ2での経験をステップに、J1での活躍を期待する対象ではないのかもしれない。

 とはいえ、これだけの能力はやはり簡単には見限れない。

 昨季の都倉は得点のバリエーションが増え、ストライカーとしてひと皮むけたように見える。持ち前のパワーだけに頼らず、巧みにゴールを陥れる術を身につけたことが、ゴール量産につながった。相手DFから見て的が絞りづらくなったことで、持ち前のフィジカルの強さもより有効に生かせるのではないだろうか。

 振り返れば、中山雅史(当時ジュビロ磐田)が前年からゴール数を倍増させ、27試合出場36ゴールという驚異的な数字を残したのは1998年のこと。当時の中山は、奇しくも今年の都倉と同じ31歳だった。

 サイズに恵まれ、フィジカル能力は高い。しかも、希少価値の高いレフティー。きっとヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっても、喉から手が出るほどほしい人材に違いない。都倉のようなFWが台頭してくることは、(着々と進む世代交代とは逆行するが)日本代表にとってもうれしいニュースとなるはずである。

 もちろん、現時点で日本代表のことまで語るのは拙速(せっそく)にすぎる。まずはJ1で結果を残すことが先決ではあるが、まったく可能性のない話でもないと思っている。

 三たび、J1でプレーするチャンスを得た今季、異能のストライカーがついにポテンシャルを解き放ってくれるのではないか。そんな期待とともに、三度目の正直を楽しみにしている。

浅田真樹●文 text by Asada Masaki