日本の防衛費は倍増へ

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 トランプ大統領誕生で、今後の日米関係と安全保障に不安が囁かれている。しかし軍学者の兵頭二十八氏はこれが好機になると予測する。そのカギを握るのはロボットによる自衛隊の無人化だ。

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 2019年度には倍増するであろう日本の防衛費の一部を、海上保安庁と、漁業監視船を擁する水産庁と、水上警察の「装備一新」に回してやるだけで、東シナ海での中共「オフィシャル船」との角逐は、劇的に日本側優位に好転する。これらを「広義の防衛努力」だと米国人に納得させることは、有能な官僚なら可能だろう。じっさい米国沿岸警備隊は非常時には海軍と一体になるのである。

 西日本の港湾警察のショボい警備艇を、航洋力ある高速艇クラスにグレードアップしてやるだけで、たとえば魚釣島に警察官をすぐにも送り込むことができるようになるし、余剰の旧船艇をフィリピン政府にプレゼントすれば、ますます中共の「海警」は弱る。

 海保の巡視船はすべて大型化し、76仄動砲(米国と中共のコーストガード船は既に装備)も搭載させよう。船艇は隻数が増えると人員も増やす必要があるものだが、大型化させるだけなら、人員を増やさなくてよい。

 大型のマザーシップから多数のゾディアック艇(強化ゴムボート)を発進させるようにすれば、定員を変えずに現場での「隻数」だけ何倍にもすることができる。巡視船を「無人機母艦」化する発想も、人を増やさずに海上警備力を強化する妙手だ。

 大型船艇の数そのものを増やそうとした場合の大問題は、日本の制度では公務員の定員を増やすことが容易でないことだ。1隻のフネを操作するには一定数の人員が不可欠なので、人を増やさぬ限り船艇も増やせない。さりとてやたらに現役定員を増やしてしまえば、あとで省庁財政が硬直し麻痺するのは目に見えている。

 しかし「海上業務を高度に代行してくれるロボット研究およびソフトウェア研究」を民間に委嘱することで、中・長期的にこれは解決できる。

 すなわち、いったん退職した高齢の元海上保安官でも巡視船の各部署を若々しくこなせるような「年齢支援メカトロニクス」を用意し、臨時増員はOBの再雇用によって弾力的に埋めればいいのだ。

 こうした技術は自衛隊装備一般にも応用が利くのはもちろん、高齢化社会のあらゆる局面で切実な問題を緩和してくれるユニバーサルなブレークスルーとなるだろう。その研究を防衛省の予算で民間へ発注すれば、誰もが幸福だ。真水1兆円つっこめば、できないことなどないはずだ。

 日本株も「爆上がり」するだろう。

【PROFILE】ひょうどう・にそはち/1960年長野市生まれの軍学者。著書に『アメリカ大統領戦記 2』(草思社)、『日本の武器で滅びる中華人民共和国』(講談社+α新書)など。

※SAPIO2017年2月号