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 ついに21日(日本時間)アメリカ大統領に就任するトランプ氏が11日、当選後初めて記者会見を開きました。この記者会見では、いい意味でも悪い意味でも一番盛り上がった場面があります。それは、ご存知のとおりトランプ氏がCNNの記者に敵意丸出しになった場面でした。

 トランプ氏は、CNNの記者に対して、

「お前は偽ニュースだ」
「お前には質問の機会を与えない」

 と感情的になり、CNN記者への質問を拒否しました。

 弁護士の15分もの説明の後の、感情的な場面。「偽ニュース」に対しては、トランプ陣営は会見冒頭から批判している。

 筆者はこの記者会見をライブ中継で見ていましたが、記者会見の最初から最後まで見ていると、このトランプ氏がCNNに対して感情的になる場面が、いかにインパクトのある場面だったかよく分かりました。

◆トランプ陣営が一様に「偽ニュース」と呼ぶ

 この記者会見では、トランプ氏の話の途中で、トランプ氏の顧問弁護士のシェリ・ディロン氏が登場。

 ディロン氏は、トランプ氏がトランプ・オーガナイゼーションの経営権をトランプ氏の息子2人に譲ることに関しての説明などをしました。この説明は約15分続き、この間は質疑応答などもなく、静かに、むしろ淡々と行われました。そんな状況の後の、トランプ氏のヒートアップした感情的な姿だったからこそ、二重のインパクトがありました。

 トランプ氏はCNNを「偽ニュース」だと切り捨てましたが、もう一つの興味深い点。

 それは、この記者会見では、トランプ陣営が「偽ニュース」という用語を度々使っている点です。会見冒頭の次期大統領報道官のショーン・スパイサー氏に始まり、さらには次期副大統領のマイク・ペンス氏も、「偽ニュース」に対しての批判をしています。その意味で、会見冒頭からトランプ陣営の姿勢はよく見て取れました。

 CNNにとっては不名誉なことですが、トランプ氏は今回、CNNを記者会見の最中、「偽ニュース」と呼び、対立姿勢を示しました。トランプ氏とCNNの確執が解けるのには時間がかかりそうに見えました。

◆トランプ氏と確執があるCNN、親会社は大型合併の最中

 昨年、854億ドル規模の大型買収が発表されました。AT&Tのタイムワーナー買収です。このタイムワーナーは、CNNの親会社。

 しかし、これに対して良く思っていないとされる人物がいます。それがトランプ氏。トランプ氏は選挙期間中の昨年10月、AT&Tによるタイムワーナー買収を、「私の政権では認めない」としていました。トランプ氏は、少数の人に巨大権力が集まりすぎてしまうことへの懸念を示していました。

 もし、AT&TがCNNを手に入れるとどうなるのでしょうか。

 AT&Tは携帯電話事業をしていますから、例えばスマホでCNNのニュースや動画を流すといった戦略をとる可能性があります。これにより、CNNはAT&Tの顧客に情報を伝達できるわけです。

 トランプ氏はAT&Tのタイムワーナー買収とCNNとの関係については発言していません。ただ、CNNはトランプ氏が嫌うメディア。巨大メディアが誕生し、影響力が強くなることに対し、トランプ氏が好ましいと思うか。そのメディアグループの中にトランプ氏が嫌うCNNがあると考えると、トランプ氏がこれを好むとはなかなか思えません。ただ、仮にトランプ氏が買収阻止へ動くとしても、その影響力は未知数ではあります。

◆買収を成功させるために、CNNがスピンオフされる可能性は十分にある

 CNNの親会社であるタイムワーナーは総合メディア企業です。タイムワーナーにとって、CNNというニュース事業はあくまでその一部にしか過ぎません。

 タイムワーナーは有名なエンターテイメント企業であるワーナー・ブラザーズ中心に、数多くの事業を抱えています。もしCNNをスピンオフすることで、AT&Tとタイムワーナーの合併承認が当局より出るという話になるとしたら、どうでしょうか。AT&TはCNNを買わずとも、それ以外で得るものが多いので、その通りにする可能性が高いでしょう。

 CNNのゆくえはどうでしょうか。いくらトランプ氏に嫌われているとはいえ、CNNは断トツの知名度を誇ります。CNNを買いたい会社を見つけるのも難しくはないかと思います。結局、買収成功のためなら、CNNがスピンオフされる可能性は十分あると筆者は見ています。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。