「ウーバー HP」より

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 自動運転車開発に向けたエコシステムの構築が、世界的に加速化している。そのエコシステムとは、今や自動車メーカーやIT、サービスといった異業種との合従連衡のみならず、完全自動運転を見据えた開発競争が進む部品メーカーの系列化にまで及んでいる。

 合従連衡では、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズの求心力が高い。自動車の利用方法が「所有」から「共有」へと過渡期を迎えるなか、シェアリング・エコノミーの象徴として注目されるウーバーには、米グーグルやトヨタ自動車などが配車サービスで提携しているほか、スウェーデンの自動車大手ボルボが、自動運転車の共同開発で連携している。

 欧州では独BMWが自動運転車開発で競合より一歩先んじている。米半導体大手のインテルと提携を果たしたBMWは、イスラエルで自動運転技術に活用されている画像解析ソフトウェア大手のモービルアイ社と提携し、2021年までに完全自動運転の量産車を投入する意向である。

 日本勢の動きも活発だ。トヨタや日産自動車は米マイクロソフトと提携し、インターネットに接続することで多様なサービスの提供を可能にする「コネクテッドカー(つながる車)」の開発準備を整えた。

 また、四輪車と二輪車でライドシェア事業を展開するシンガポールのグラブ社との協業にすでに乗り出している本田技研工業(ホンダ)は、16年12月にグーグルと完全自動運転車の開発で手を組んだ。実質的な開発は、ホンダの子会社である本田技研研究所とグーグルを傘下に持つ米アルファベットの自動運転研究開発子会社、ウェイモとの共同研究により進められる。

 具体的には、ウェイモの自動運転技術である車載コンピューターやソフトウェア、センサーなどをホンダの車両へ搭載し、公道での実証実験を米国のワシントン、カリフォルニア、テキサス、アリゾナの4州で行うことが予定されている。

 ホンダはこのウェイモのほかにも、すでに米ゼネラル・モーターズ(GM)と燃料電池の分野で、また、ソフトバンクグループとAI(人工知能)の分野でそれぞれ技術協力における提携を果たしている。これら協業各社と連携を図りながら、米国4州での実証実験で収集したデータを有効活用することで、20年の自動運転技術を搭載した市販車の発売を目指している。

●レベル4の自動運転車実現へ

 他方、自動運転車実現に向け新たに必要となる部材開発競争も活発化している。カメラやセンサーの要素技術を一貫して提供する独コンチネンタル社は、トヨタが搭載する衝突回避システム「トヨタ・セーフティ・センスC」への自社センサー採用を勝ち取った。

 また、前述したモービルアイ社は、独自開発の単眼カメラで取り込んだ情報から自動車の衝突などの危険性をコンピューターで分析しリスク低減を図る製品を開発している。この先端運転システム(Advanced Driver Assistance Systems:ADAS)は、衝突防止を担う情報処理機能として、米テスラ・モーターズ、米フォード、GM、ボルボ、ホンダ、日産、BMWなど世界中のほとんどの自動車メーカーにすでに取り入られている。

 20年から25年の間に完全自動運転車の開発を目指す自動車メーカーは多い。ITやサービスなどの異業種を巻き込み、今後世界レベルでのエコシステム構築が加速化すれば、レベル4の自動運転車実現はそう遠くない未来にやってくるかもしれない。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)