傑作?それとも問題作?人気の動画ブロガーがライブ配信中に遭遇した自動車事故の真相

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昨年12月16日、イスラエルで人気のビューティー動画ブロガー、Ashley Waxman BakshiがYouTube上でライブ動画を配信しました。その内容は、車を運転しながらメイクアップについて話したり、視聴者からの質問に答えるというもの。


※実際のライブ動画はmovieTIMES内に掲載できないため、YouTube内でご覧ください(リンク)。

固定カメラを使って撮影し、スマートフォンをチェックする際は一旦車を停める形で進行していきます。

当時およそ2,500人がライブ視聴していたそうですが、配信がスタートしてから6分経った頃、突然映像が乱れ、彼女の叫び声とともに、たちまち画面が白い煙で覆われます。ハンドルを握りながら一瞬スマートフォンに視線を移した直後に衝突事故が起きたのです。

それから10秒ほどすると、元気な彼女が再び登場し、今回の動画の趣旨を説明しました。運転中の映像は録画しておいたものであり、運転中のスマホ操作の危険性を啓蒙するために、イスラエルの交通安全団体Or Yarokの企画に協力したというのです。

 

本件を手掛けた代理店によると、Or Yarokからは当初、“やり過ぎなのではないか”と懸念する声も上がったそうです。しかしそれと同時に、若い人たちに向けてこれまで散々広告を使って啓発してきたのに事故が減っていないという事実も認識しており、これくらいのショックが必要だと納得したそうです。

動画が公開された翌日までに57,000人以上に視聴され、10代の若者もその親世代も概ね、この型破りな企画に理解を示したそうです。

確かに、お気に入りのインフルエンサーが目の前で事故に遭遇したら、その映像と衝撃がずっと心に残り、運転する際の意識が変わるかもしれません。そして本当にいくつかの命を救うことになるかもしれません。

しかし、事故に遭うまで「タイアップコンテンツ」であることは明かされず、またライブ配信中として視聴者に“ウソ”をついていたことも事実です。特にインターネット上のコンテンツの真偽について世界的に敏感になっている今日では、啓発目的とはいえ、かなり大胆なチャレンジだったと言えます。日本だったら炎上していた可能性もあるでしょう。

裏を返せば、広告を通して人の心を動かすことの難しさが改めて浮き彫りになった事例と言えるかもしれません。読者の皆さんはどのように思いますか?

団体:Or Yarok(イスラエルの交通安全啓発団体)
企画制作:BBR Saatchi & Saatchi