会社の来客ブースや会議室からアクセスする患者も(写真はイメージ)(shutterstock.com)

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 「5大疾病」のひとつとされ、もはや誰でもかかりうる病気となった精神疾患。その治療は長い期間にわたることが多い。

 そこで、通院にかかる負担を軽減させる「オンライン診療」を取り入れている新六本木クリニック。院長の来田誠医師によれば、患者の治療中断も減少する効果ももたしたという。

仕事に復帰してなかなか通院の時間が取れない......

――患者さんにはどのような方が多いですか?

 六本木という立地なのか、近隣で働くビジネスパーソンが多いようです。この近くにお住まいの方や、隣県など少し遠方から通院される方などもいらっしゃいます。

 初診の時や急性期、薬の調整時、血液検査のときなどには、実際に来院していただいています。「オンライン診療」とはいっても、来院が可能な方が中心となります。

――オンライン診療の利点として、通院時間が取れない方の支援という側面もあると思えますが。

 そういう方も、ひとつのモデルケースです。仕事などで多忙な患者さんの場合、就業後に会社の来客ブースや会議室からアクセスしてこられる場合もあります。

――ほかには、どのようなタイプの患者さんがオンライン診療を利用されていますか。
 
 病状が悪くて外出するのも厳しい方もいます。受診を予約していても、通院できずに薬がなくなり病状が悪化してしまう――。そんな方もオンラインで診察をつなげることができるので、治療を中断せずに継続できています。

あくまで疾病の状況を見た上での治療計画

――通院が数少ない外出の機会という患者さんもいます。オンライン診療ですませていると、さらに引きこもりがちになってしまいませんか。
 
 そのように通院自体が行動療法になっている人には、オンライン診療の適用は避けています。あくまで病状をみた上での治療計画が大切です。患者さんにとって<通院>がもつ意味を検討した上で、適切なケースにオンライン診療を提案しています。

 オンライン診療を希望されても、「毎回は使えませんよ」と通院と組み合わせることを常に伝えています。

 一方で、予約前日に「やはりどうしても行けそうにありません」という連絡が来た場合には、「明日の診察は<オンライン診療>に切り替えましょう」と対応することもあります。

――オンライン診療の費用には、保険が適用されますか?

 現時点では、保険が適用される診療のみ行っています。
医療機関の敷居を下げることが今後のさらなる目標

――ネットでの診察を進展させて「24時間受診」のような構想はありますか?

 基本的に一般の医療機関でも夜間対応は救急などの緊急時。24時間受診できることが、はたして治療的に正しいのかどうか疑問です。相談サービスを24時間提供というのは、医療とは質の異なるものではないでしょうか。

 診療所が行うべき医療なのか、正直なところ疑問を感じます。

――オンライン診療のシステムを開発してよかった、そう感じたケースを教えてください。

 遠方に転勤される患者さんには、転勤先の医療機関の紹介にとどまっていました。転勤がきっかけで、結果として治療の中断に至った方もいました。現在はオンライン診療によって、治療の継続が可能なケースもあると感じています。

 地方に引っ越した方でも、上京される機会を使って対面診察を行うことができます。そのようなケースも含めて、<治療の中断>が起こりにくくなっているのを確かに感じます。

――今後の展望を教えてください。

 医療機関の敷居を下げることで、患者さんにとって必要な医療を受けるチャンスが増えれば――と願っています。

(取材・文=里中高志/精神保健福祉士、フリージャーナリスト)


来田誠(きただ まこと)

1980年生まれ。京都大学医学部卒業。大阪赤十字病院での初期研修を経て、医療法人養心会 国分病院に勤務。2010年より大和西大寺きょうこころのクリニック院長。2016年1月に新六本木クリニックを開設。専門は産業精神保健で、現在診療と並行し上場企業等7社の産業医を受託し、職場のメンタルヘルス改善に取り組んでいる。(資格)精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医、産業医、(所属学会)日本精神神経学会、日本産業精神保健学会、日本遠隔医療学会。

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。