1月8日から東京・両国国技館で始まった初場所だが、11日目に横綱鶴竜が休場、日馬富士に続きなんとも寂しい初場所となった。2横綱不在となるのは2015年秋場所以来8場所だ。ただ1人、無敗で中日勝ち越しと波に乗る大関稀勢の里(30)と、追う横綱白鵬(31)との一騎打ちに、超満員のファンの視線が注がれた。
 その一方で、この2人を除く横綱、大関陣の低迷には目を覆う。「“新旧交代”の時代到来だ」と両国雀の声が大きくなってくる。

 琴奨菊、照ノ富士らの不甲斐なさは今に始まったことではないが、先場所の覇者で、自身初の連覇を狙っていた鶴竜や日馬富士まで序盤で枕を並べて討ち死に。両横綱が休場するという無残な場所になった。
 2日目、御嶽海に強引な投げを打って墓穴を掘りあっさり寄り切られると、翌日も松鳳山にもろ差しを許して何もできずに土俵を割り、勢いあまって土俵下まで転落。いずれも金星になり、これで金星配給数は史上8位の31個に。金星を獲得した力士には場所ごとに、1個につき4万円ずつが支払われるので、日馬富士は毎場所、相撲協会に124万円もの余分な出費を強いていることになる。さらに5日目の隠岐の海戦で右の太もも裏を痛めてしまい、とうとう7日目から休場してしまった。これには、横綱審議委員会の面々も渋い顔を隠さない。
 「もう引退かな…。(場所前の)稽古総見のときもダメだったし。いや、まだ早いか」
 守屋秀繁委員長は3日目に連敗したあと、こう冷ややかに苦言を呈していた。横綱の引退の平均年齢は32歳。もしかすると、日馬富士が重大な決断をしなければいけない日は近いかもしれない。

 こんな上位陣を突き上げ、苦しめているのは正代、御嶽海、高安らの若手力士たちだ。その中でも、はつらつとした相撲をみせているのが日馬富士、鶴竜から二つもの金星をあげた御嶽海だ。初土俵から12場所目の相次ぐ金星ゲットは史上8位のスピード。
 「めちゃめちゃ嬉しいです」
 分厚い懸賞の束を手に、破顔大笑していたのが印象的だった。
 「横綱、大関陣は、照ノ富士を除いていずれも30代。対照的に若手の成長は急ピッチで、この1、2年で上位の顔ぶれがガラリと変わるのは必至な状況です」(大相撲関係者)

 “白鵬時代”も終わりそうな気配が漂う。横綱・大関陣も一気呵成に様変わりしても不思議ではない。角界“丸ごと”新旧交代の時代到来か。