端末価格に関しては、消費者に合理的な額の負担を求める

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 総務省は1月10日に、新たに「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を策定した。従来の「SIMロック解除の円滑な実施に関するガイドライン」と、昨年4月から実施した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を一本化したもので、内容は非常に細かく、多岐に渡る。
 ポイントは、SIMロック解除が可能となるまでの期間の短縮・解約時のSIMロック解除、下取りや期間限定割引を含む「実質負担0円」の禁止の厳格化だ。端末価格に関しては、消費者に合理的な額の負担を求める。2月1日から順次適用される。

 SIMロック解除に関しては、消費者にメリットのある妥当な変更といえる。現在も、2015年5月1日以降に発売された端末なら、SIMロック解除は可能だが、その解除が可能になるまでの期間が短縮される。また、今年8月1日以降に新たに発売される端末を対象に、MVNO向けのSIMロックを廃止し、キャリア独自モデルを含みキャリアが回線とともに販売するスマホをMVNOで利用しやすくする。

 端末販売の適正化に関しては、従来の方針を継続、強化する。2月1日以降、1か月未満の期間限定キャンペーンであっても「実質0円」は禁止する一方、従来型携帯電話からスマホへの移行を促進するための割引の対象は、キャリア間の競争活性化のため、自社内からMNPに範囲を広げる。また、曖昧だった端末価格の合理的な額として、「2年前の同型機種の下取り価格以上」という目安が挙げられた。

 パブリックコメントには、多くの個人から「端末販売の適正化」によって、消費者視点では、以前よりむしろ負担が増えたという率直な意見が寄せられた。販売台数の減少による、端末メーカーやキャリアショップの採算悪化を危惧する指摘もあった。

 実際は、ガイドラインの策定がどう影響したのか、データで見てみよう。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、「キャッシュバック終了」の知らせがあった2016年1月は、駆け込み購入が相次ぎ、スマホの販売台数は跳ね上がった。その反動で2月、3月は例年に比べ、低調な売れ行きに終わったが、7月には「ポケモンGO」、9月には新iPhone、年間を通してSIMフリーといった話題に事欠かず、16年の年間販売台数は前年比102.0%と、ほぼ前年並みで終わった。

 ただ、タイプごとに前年比を集計すると、家電量販店で端末単体やMVNOとセットで購入可能なSIMロックフリーモデルは150.9%だったが、大手キャリアの回線契約と同時に購入するSIMロックありモデルは96.2%にとどまった。2年前の14年と比べると、SIMフリーは340.2%、SIMロックありは92.1%と伸び率の差はさらに顕著になり、この2年間でSIMフリー市場が急速に立ち上がったとわかる。

●ガイドライン策定の結果、10台のうち5台がiPhone、2台弱がSIMフリーに



 SIMフリー拡大の動きは、2月から顕著になった。新製品発売の影響もあり、スマホ全体に占めるSIMフリーの比率は8月には18.9%を記録。さらに12月には20.4%と、初めて2割を突破した。16年の年間では15.6%。ざっくりとまとめると、新規に販売されたスマホ10台のうち、5台がiPhone、1〜2台がAndroidがほとんどのSIMフリースマホ、残り3〜4台がキャリアが販売する通常のAndroidやシニア・キッズ向けとなる。iPhoneの比率は、ほぼ前年と変わっていないが、SIMフリーの影響を受けて比率が下がったのはキャリアが販売するスマホだった。

 iPhoneを含めキャリアモデルが欲しい人は、最初からキャリアショップを訪れるが、条件次第でキャリアの乗り換え(MNP)も視野に入れて複数のキャリアから選びたい層や、最初からMVNOに乗り換えるつもりの層は家電量販店へと、それぞれ棲み分けが進みつつあるともいえるだろう。今後、その傾向がさらに強まり、家電量販店の携帯電話コーナーは、「SIMフリースマホを購入するところ」になるかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。