【六川亨の日本サッカー見聞録】2017J1リーグ展望

写真拡大

▽昨シーズンのACL王者の全北現代(韓国)のスカウト担当者が、審判に賄賂を贈って八百長を工作したとして、AFC(アジアサッカー連盟)は今シーズンのACLの出場権を剥奪すると発表した。疑惑は今から4年間の2013年だったが、あれだけの強豪チームが八百長を仕掛けるとは何とも理解できない。チームはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服を申し立てるとしているが、果たして結果はどう出るのか注目されるところだ。

▽さてJリーグは多くのチームが先週末に始動を迎え、早くもキャンプに突入している。今シーズンから優勝チームには多額のボーナスが出るものの、オフの移籍市場は穏やかで、これといった“目玉”はなかったのは残念だ。鳥栖がGKブッフォンの獲得を表明したものの実現せず、あとは神戸がオファーを出している元ドイツ代表FWのルーカス・ポドルスキが来るのかどうか。神戸は柏からFW田中順也、FC東京からMF高橋秀人、仙台からDF渡部博文と即戦力を補強。FWペドロ・ジュニオールを鹿島に引き抜かれたのは痛手だが、あとはレアンドロとコンビを組む新外国人を補強できれば面白い存在になりそうだ。

▽その補強で相変わらずの“手堅さ”を感じたのがJリーグ王者の鹿島だ。FW金崎夢生というエースストライカーに加え、前線にはFW赤崎秀平、FW土居聖真やFW鈴木優磨とタレントはいるものの、神戸からペドロ・ジュニオールを引き抜いた。ACLとのターンオーバーを見据えつつ、金崎がシーズンを通じてフル稼働できない可能性もあるため、その保険も兼ねているのだろう。MF柴崎岳の海外移籍が噂されているが、ミスター新潟とも言えるレオ・シルバを獲得と抜かりはない。唯一の不安はCBファン・ソッコの抜けた穴だが、そこはDF植田直道の成長に期待したい。

▽このJリーグ王者に挑むのが年間勝点1位の浦和ということになるのだろうが、即戦力候補は新潟から獲得したFWラファエル・シルバくらいだろう。千葉から獲得したFWオナイウ阿道やレンタルバックのMF長澤和輝、岡山からレンタルバックのMF矢島慎也らは将来的な若返りを見据えてのことだろう。それだけスタメンはほぼ決まっている。逆に不安材料を上げるとすれば、固定されたスタメンと6年目を迎えるペトロヴィッチ監督の“マンネリ感”ではないだろうか。2月25日、鹿島とのゼロックス杯は今シーズンの浦和を占う意味でも注目したい。

▽移籍市場で大胆な動きを見せたのがFC東京だ。川崎FからベテランFWの大久保嘉人、J2に降格した名古屋からFW永井謙佑、フィテッセから左SB太田宏介、GKに鳥栖から林彰洋と代表クラスを獲得するなど、1月15日のチーム始動日には約2000人のファンが練習場に集まり、期待の高さをうかがわせた。さらにFCソウルのブラジル人MFの獲得を狙っているとの噂もある。問題は、新加入選手により出場機会を争うことになるFW前田遼一やMF河野広貴、阿部拓馬、DF徳永悠平といった“功労者”のメンタル・マネジメントだろう。昨シーズンと違いACLはないだけに、リーグ戦に集中できるとはいえ豊富な戦力をどうコントロールするのか。篠田善之監督の手腕が問われることになる。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。