2017年オーストラリアン(全豪)オープン2回戦で、第5シードの錦織圭(ATPランキング5位、1月16日付け、以下同)が、ジェレミー・シャルディ(72位、フランス)を6−3、6−4、6−3で破り、7年連続の3回戦進出を決めた。

「(シャルディは)当たると強い選手ですけど、ミスも多いので、しっかりリターンが入れば、ブレークできるチャンスはあると信じていた」

 こう錦織が語ったように、シャルディはウィナーが取れるフォアハンドの逆クロスを得意とするものの、ポイントを組み立てる以前にミスを犯し、試合全体で53本ものエラーを数えた。

「タフマッチでした。今日はたくさんチャンスがあったと思うけど、せっかくブレークしても、自分のサーブがよくなかったので、勝つのは難しかった。圭は本当にいい選手で、とても動きが速い。ベースライン上でうまく、早くボールを捕らえる。僕は、圭がベースラインプレーヤーの中ではベストのひとりだと思っています」

 そのコメントのとおり、シャルディはダブルフォルトを5回もして、セカンドサーブでのポイント獲得率も40%にとどまり、試合の主導権を握れなかった。

 一方、錦織のファーストサーブの確率は69%、ファーストサーブのポイント獲得率は67%、セカンドサーブのポイント獲得率は56%と全体的に悪くなかった。しかし、セットの立ち上がりのサービスゲームに課題が残った

「ブレークされるのが早かったのは、反省すべき点」と語った錦織は、第1セットを先取した直後の第2セット第1ゲーム、第2セットを取った直後の第3セット第1ゲームで、いずれもサービスブレークを許している。そこで相手の戦意を喪失させることができたはずの場面で、逆に生き返らせるきっかけを与えてしまった。

 幸いなことにシャルディはミスが多く、「なるべくブレークされた次のゲームは集中してプレーするようにした」という錦織が、それぞれ直後の第2ゲームをブレークバックできたため大事には至らなかった。ただ、トップ2をはじめ上位選手と対戦する時は、取り返しのつかないことになりかねない。

「それでも1試合目よりはるかによかった。フィーリングだったり、試合の入り方も集中してできた。やっぱり出だしがいいと、自然と流れもよくなってくる」

 大会2試合目をこう評価した錦織。ジュニア時代からの旧知の仲であるシャルディも勝者を称えた。

「圭はリターンがとてもいいですね。サーブが唯一よくないですが、その他のショットは本当にいい。だからトップクラスのプレーヤーなんだと思います」

 現在ツアーで、錦織のセカンドサーブをリターンから強く叩く作戦は、錦織攻略のひとつとして多くの選手が使っているが、そのセカンドサーブに関する興味深いデータがある。

 実は、2016年シーズン通しての錦織のセカンドサーブでのポイント獲得率は55.3%で、ツアーで7位だった。意外と順位はいいのだが、セカンドサーブ自体が勝負できるほど強力という意味ではない。

 錦織がセカンドサーブを打つ時は、サーブで勝負するよりもストロークにつなげてポイントを奪うことに心血を注いでいる。錦織のサーブが1球目として、相手のリターンが2球目、そして、錦織が打つ3球目に秘訣がある。

「だいたい(3球目)は、(自分が)ディフェンスになる。そのディフェンスをしっかり深く返せれば、ストローク戦には持ち込めるので、なるべく(リターンで)攻められないように意図して、(サーブの)コースや球種を打ち分けます」

 ちなみに、錦織のファーストサーブのポイント獲得率は72.1%で43位だった。

 逆に、リターンを得意とすることを示す錦織のデータもある。相手のファーストサーブに対するリターンのポイント獲得率は30.6%で17位。相手のセカンドサーブに対するリターンのポイント獲得率は54.3%で5位だった。データが示すように、錦織は間違いなくツアー屈指のリターナーだといえるだろう。

 錦織は、3回戦で予選から勝ち上がってきたルカシュ・ラツコ(122位、スロバキア)と対戦する。対戦成績は錦織の2勝0敗だが、試合をするのは2014年のATPワシントンD.C.大会3回戦以来と間隔が空いている。

「(ラツコと)しばらく試合をやってないし、テニスも最近見ていないし、(出場する)大会も重なっていない。そんなに強打はないので、よりラリー戦になり、リズムはつかみやすいと思う」

 当初想定されていたシード選手との対戦ではないが、3回戦に勝ち上がってきた選手なのだから、もちろん油断はならない。それでも、テニスの調子が上向いてきた錦織の全豪ベスト16への視界は良好だ。

神 仁司●文 text by Ko Hitoshi