かつてG大阪の黄金期を支えた名コンビ、橋本(左)と二川。ベテランデュオが東京Vを躍進へ導くか。(C)SOCCER DIGEST

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 正面に橋本英郎を見据え、左のソファには二川孝広がくつろいでいる。3人で談笑するのはどれくらいぶりだろうか。しかもここは、東京ヴェルディのクラブハウスである。10年前には想像できなかった光景だ。
 
 いまさらくどくどと説明するまでもないだろう。両人とも、ガンバ大阪の下部組織で才能を磨かれ、トップチームに昇格するやほどなくして主軸の一角を担い、西野朗体制下のチームで数多のタイトル獲得に寄与した。宮本恒靖、稲本潤一、大黒将志、宇佐美貴史とアカデミー出身の名手は枚挙に暇がないが、第1次黄金期における貢献度で見れば、このふたりを凌ぐ者はいない。まさに、ガンバが誇るべき宝だ。
 
 中盤の広範囲をカバーして攻守両面でハイパフォーマンスを保証するリンクマン、橋本。天才的なパスセンスでゴールを導くだけでなく、黙々と守備のタスクも高次元にこなすプレーメーカー、二川。勝者のメンタリティーを持つ両雄が、首都のクラブで再会を果たした。橋本が2011年末にガンバを退団して以来、およそ5年ぶりのコンビ復活だ。
 
 久々に会ったひとつ年下の“後輩”は、37歳の橋本の目にどう映ったのか。
「いや、フタ(二川)についてはあんまし変わった感じはしませんね。あいかわらず強いパスを受けて、(出し手に)ごめんって言われてんのに、いい落とししてて。今日なんかもセンターバックからえぐいパス来てても、さらっと落としてましたよ。そこらへんは流石やなと」
 
 ガンバ退団後、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、長野パルセイロを渡り歩いた橋本とは異なり、二川はガンバでナンバー10を背負い続けた。だが昨年夏、出場機会が激減したことを受け、大きな決断を下した。20年間を過ごした万博の地に別れを告げ、ヴェルディへレンタル移籍。そして年末に期間を1年延長し、今季もグリーンキットに袖を通すこととなった。
 
 20代半ばの頃、二川に「引退するならどこでいつする?」と訊いたことがある。少し考えて、「たぶん30代前半にJ2のどこかのクラブでひっそり引退すると思います」と真顔で話していた。そんな昔話を振ると、こう答えてくれた。
「ほら、言うた通り、プラン通りでしょ(笑)。あの頃は、自分が30歳くらいまで現役をできたら上出来やと思ってましたけど、気づいたらこの歳(36歳)ですからね。いまはプレーできる限りは続けたいし、セカンドキャリアのこともちゃんと考えてます。若手にも負けない気持ちでやりますよ。試合に出てナンボですから」
 
 このふたりをヴェルディに連れてきた張本人が、竹本一彦GMである。
 
 前身の読売クラブ時代にベレーザを強豪に育て上げ、1999年から2004年まではガンバでコーチや暫定監督を歴任した。若き日の橋本と二川が影響を受けた人物のひとりだ。その後は柏レイソルとFC今治で辣腕を発揮し、2014年夏、18年ぶりに古巣に舞い戻った。強化責任者としてチーム改革の陣頭指揮を執り、2017年シーズンを勝負の一年と位置付けている。かつてセルタをチャンピオンズ・リーグ16強に導いたスペインの智将、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の招聘に成功した。
 
 個々の役割やポジショニングを緻密に設定し、攻守両面での連動性の高いサッカーを標榜するロティーナ監督。竹本GMはそのスタイル構築のための重要なピースとして、橋本に白羽の矢を立てたのである。
「こういうサッカーをしたいから、ハシ(橋本)にはこんな役割を期待しているという話をして、受けてくれました。なにより我々のプロジェクトに賛同してくれたというか、そこに楽しさを見出してくれているのが嬉しい。さっそくピッチ内外で存在を示してますよ」