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東京ビッグサイトでは、ウェアラブルに関連する最新の製品と技術が集まる展示会「第3回ウェアラブルEXPO」が、18日から3日間に渡り開催されている。

ウェアラブルといえば、近年スマートウォッチの伸びはやや鈍化しつつあるものの、コンシューマ製品ではフィットネスギアが好調に推移していたり、またBtoBではヘッドマウントディスプレイやスマートグラスへの注目が高まりつつあると言われている。本稿では、今年のウェアラブルEXPOの会場で見つけたユニークな展示を紹介しよう。

○脳波を読み取って自動で作曲する人工知能

大阪大学COI(イノベーションセンター)は、人の脳波を測定したデータを元に、自動で作曲を行う人工知能エンジンの開発に成功。ウェアラブルEXPOの会場でデモンストレーションを披露している。

今回の研究は、大阪大学産業科学研究所教授の沼尾正行氏、東京都市大学メディア情報学部教授の大谷紀子氏、民間企業のクリムゾンテクノロジーとベルギーの研究機関imecのグループにより実現したものだ。

開発したのは、脳波を計測するセンサーを8個内蔵したヘッドギア型のヘッドホン付ワイヤレス脳波センサーと、取得した脳波反応のデータを元に楽曲を生成するアルゴリズム。PCやタブレットのアプリにも展開されている。

ヘッドギアを装着したユーザーがヘッドホン、あるいはスピーカーから流れてくる音楽を聴きはじめると、センサーが脳波をピックアップ。楽曲に対する脳の反応をサンプル化して、集めたデータを元に人工知能が曲を自動で生成する。

ブースのスタッフによれば、最初に多くの楽曲を試聴して、多くのデータを集めれば精度の高い曲をつくれるが、2〜3曲を聴いただけでも作曲は可能だという。人工知能による楽曲生成はデータを収集後、10秒前後で完了する。曲の長さは8小節、または16小節を選択。楽曲のジャンルもポップ・ロック、ダンス、ラテンなど5種類から、曲調も「明るめ」と「悲しげ」の2種類からそれぞれ選べるようになっている。

スタッフによると、これまでの研究ではいったん脳波を集めたあと、作曲データを生成する間に、曲調の指定など人の手を入れる必要があった。最新の研究成果では、収集した曲への反応と脳波の関係が機械学習できるようになり、ユーザーのメンタルコンディションを活性化させるオリジナル楽曲がより簡単に作曲できるようになったという。

同グループでは、自動作曲対応の人工知能プログラムを、教育やリラグゼーション、あるいは音楽セラピーなど医療方面の分野に向けて提案することを視野に、研究の精度を高めていく考えだ。

○スポーツイヤホンに最適、ゴムバンドみたいに伸びるケーブル

石川県の繊維加工企業、カジナイロンが開発に取り組むのは、導電性を持つ金属細線を織り込みながら、高い伸縮性を実現する布素材(ファブリック)だ。今回の展示会では、細い銅線をポリエステル素材に編み込んだヘッドホン・イヤホンケーブルのサンプルを展示した。

きしめん状のフラットケーブルは細かい銅線をファブリックと一緒に編み込んでいるので、伸縮性が高く断線もしにくい。イヤホン用のケーブルとしても十分な導電性とインピーダンス特性を持たせることができるという。会場に展示されたケーブルを手で引っ張ってみると、まるでゴムバンドのように伸び縮みする。試作されたイヤホンやヘッドホンで音を試聴することもできた。

同社では、ジルコニアを混合して耐久性を高めた銅線を織り込んだり、繊維に銀メッキを塗布するだけで導電性を持たせたケーブルなども試作し、良い結果をえているという。下地の生地の色合いを自由にカラーリングできるのも特徴だ。ヘッドホン、イヤホンについては、この技術に関心を持つパートナーとの製品開発を進めているそうなので、楽しみだ。

同様に、オーディオ製品に展開できる伸縮性の高いケーブルは旭化成も研究開発の成果をイベントで披露している。伸縮電線「ロボ電」と名付けられたケーブルだ。

導線を外部被覆で囲う一般的なケーブルと異なり、ロボ電は弾性の高い樹脂製コアの周囲に導電性を持つ金属導線を巻き付けて、その上を可動性の高い外部被覆でさらにカバーして成形している。ぐるぐる巻きにされた導線が内部で柔軟に伸び縮みすることで、ケーブルに曲げや引っ張りによるテンションがかかっても断線せず、安定した信号伝送が可能になるのが特徴。

旭化成のブースでも独自開発のケーブルをスポーツ用のワイヤレスイヤホンなどに展開する事例を紹介。ケーブルの長さを短めにして、ロボ電特有の伸び縮みによりユーザーの首元に無駄なくピタリとフィットできる優位性をアピールしていた。

なおロボ電シリーズのケーブルは、産業ロボットのアーム用高耐久配線やウェアラブルスーツに最適な伸び縮みするケーブルとして、販売もスタートさせている。旭化成のスタッフは、今後はオーディオメーカーとのコラボレーションも探っていきたいと意気込みを語っていた。

(山本敦)