2017年、私のイチオシ「Jリーガー」(2)
■昌子 源(鹿島アントラーズ/DF)

 J1リーグ年間チャンピオン、FIFAクラブワールドカップ準優勝、そして天皇杯優勝によって有終の美を飾った鹿島アントラーズ。2016年の国内サッカーは、さながら"鹿島一色"に染まって幕を閉じた格好となった。その中で、ひと際輝きを放っていたプレーヤーがいた。

 不動のセンターバックとして、タイトル獲得に貢献した昌子源(しょうじ・げん)、24歳。来る2017年シーズンに向けて、さらなる活躍を期待せずにはいられない、伸び盛りのディフェンダーである。

 年間勝ち点2位の川崎フロンターレと、同1位の浦和レッズを破ったチャンピオンシップにおけるパフォーマンスはもちろんのこと、それ以上に昌子の成長ぶりとポテンシャルの高さがうかがえたのは、南米王者のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)や、欧州チャンピオンのレアル・マドリード(スペイン)という世界の強豪クラブと戦ったクラブW杯だった。

 例えば、レアル・マドリードとの決勝戦における後半終了間際に見せたクリスティアーノ・ロナウドとの1対1、あるいは準決勝アトレティコ・ナシオナル戦の前半23分に見せたシュートブロックなどは、昌子の持つ1対1の強さと巧さ、危険察知力とカバーリング力の高さを象徴するシーンだった。

 それ以外のプレーでも、相手FWへの縦パスを読み、タイミングよく前に出てインターセプトする能力、奪ったボールを長短のパスで味方につなげるフィード能力と、それまで昌子がJリーグの舞台で見せてきたスキルが、フィジカルが強くてゲームスピードも速い国際試合でも十分に通用するレベルであることを実証してみせた。

 国内リーグのいいプレーヤーから、国際舞台でも戦えるプレーヤーへ。昌子がドメスティックな舞台から、インターナショナルな舞台へ羽ばたくきっかけとなったのが、クラブW杯だと思われる。今まで欠けていた国際経験を積んだことで、自信も相当についたに違いない。

 振り返ってみれば、ここまでの道のりは決して短くはなかった。

 昌子が鹿島でレギュラーをつかんだのは、米子北高卒業後に入団してから4年目となる2014年のこと。現在のJリーグは、高卒で即戦力になれるほどレベルは低くないが、同期の柴崎岳がルーキーイヤーからリーグ13試合に出場し、2年目にはレギュラーを獲得したことを考えれば、初年度の出場がゼロだった昌子に多少の焦りはあっただろう。

 それでも、昌子はしっかりと地に足をつけて、着実に力をつけてきた。そうして、鹿島伝統のセンターバックの系譜、つまり秋田豊、岩政大樹らの系譜を受け継ぎ、2015年からは「背番号3」を背負うまでに成長を遂げた。

 特に、入団当時レギュラーだった岩政のプレーからは多くのことを学び、もともと持っていたスピードや足もとの技術に加え、パワーや空中戦の強さといった部分が年々レベルアップ。少し時間はかかったかもしれないが、今や鹿島の最終ラインを統率する不動のセンターバックというだけにとどまらず、Jリーグを代表するセンターバックとしての地位を築くまでに至った。

 2016年のパフォーマンスは、とりわけ目を見張るものがあったが、それはJリーグ公認データ『Stats Stadium』の数字からも見て取れる。

 例えば、ボール奪取力では「20」(偏差値83.6)を記録したレオ・シルバ(アルビレックス新潟→鹿島)に次ぐ、リーグ2番目の「19」(偏差値80.4)をマーク。さらに守備力(相手パス、ドリブル、クロスを奪って自チームの攻撃につなげた際にカウントするポイントの偏差値)では「20」(偏差値97.7)を記録。2位の渡部博文(ベガルタ仙台)を抑え、堂々とリーグトップの数値を残している。

 もちろん、数字では見えない部分、ラインコントロールやポジショニングなども申し分ないレベルにあった。時にファン・ソッコ、時に植田直通と、センターバックを組むパートナーが変わっても、昌子という軸がブレなかったからこそ、鹿島のディフェンスが混乱することはなかった。

 年齢で言えば、柴崎や宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)らに代表される、いわば「プラチナ世代」だ。しかし昌子は、彼らが出場した2009年U−17W杯はおろか、年代別代表では一度も公式戦でプレーした経験がない。

 そんな昌子が日本代表デビューを飾ったのは、2015年3月31日に行なわれたウズベキスタンとの親善試合。それ以前にも2014年10月、ハビエル・アギーレ監督時代に招集されているが、その際は負傷により無念の離脱。その後もメンバー入りはするものの、結局試合に出場したのは、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任後のこの試合が初めてだった。

 昌子はその試合で先発フル出場を果たし、5−1で大勝したが、その後は吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)と森重真人(FC東京)という代表不動のセンターバックコンビの陰に隠れて、チャンスをつかめずにいた。途中出場で、ようやく代表キャップ2戦目を飾ったキリンカップのブルガリア戦(2016年6月3日)でも、昌子が出場した時点ではすでに日本が6−2とリードして大勢が決した状況にあった(最終的は7−2で日本が勝利)。そのため、国際試合における経験値を上げることも、ポジション奪取をアピールするようなこともできなかった。

 そんな昌子にとって、2017年は日本代表でレギュラーを獲得するためにも、重要なシーズンとなる。

 クラブW杯での活躍ぶりは、視察していたハリルホジッチ監督も十分に認識しているはずだ。あのプレーぶりを見れば、昌子の積極的な起用も考えているに違いない。カギとなるのは、与えられたチャンスをモノにできるかどうかだ。

 28歳の吉田、29歳の森重に、いつまでも頼ってはいられない。2018年W杯アジア最終予選の後半戦を迎える今年、Jリーグに限らず、日本代表でもブレイクすることが、昌子に求められる。

中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi