話しかけると人間と間違うほど流ちょうに応答してくれるクラウドベースの人工知能「Alexa」を使うスピーカー型音声コントロール端末「Amazon Echo」は、音楽をかけたり、ピザを注文したり、タクシーを呼んだり、Amazonで商品をポチったりと、日常生活のありとあらゆることに対応し始めています。実際にEchoを使ってみたユーザーはEchoの利便性を理解すると同時に、Echoが聞いた音声データがどうなっているのかについて、そこはかとない疑問を感じているようです。

Amazon’s Echo seems great, but what does it hear? | John Naughton | Opinion | The Guardian

https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/jan/15/amazon-echo-is-great-but-what-does-it-hear

The Guardianのジョン・ノートン氏は、便利だと噂に聞いていたEchoをゲットして使ってみました。ノートン氏は自分が必要と感じ、自分のお金で購入した商品以外はレビューしないというポリシーを持っており、Echoも自分にとって重要な製品だと感じたことから購入したとのこと。なお、Echoシリーズにはスタンダードモデルの「Amazon Echo」、Blutooth対応で小型化した「Amazon Tap」、モバイルサイズの「Echo Dot」の3種類がありますが、価格が最も安いEcho Dotを購入したそうです。



Echoでは「Alexa(アレクサ)」というフレーズがコマンドとなって、認識した音声はAmazonのクラウドに送信されて、回答がフィードバックされるという仕組みです。そのため、Echoを使うために、ことあるごとに「Alexa」と呼びかけることになるのですが、ノートン氏はEchoに話しかける行為は最初、不思議な感じがしたと述べています。

ノートン氏によると、Echoを初めて使うユーザーにとって最も感銘を受ける部分は応答速度の速さだとのこと。なお、問いかけから回答までの1秒という極めて短い時間は、Amazonのジェフ・ベゾスCEOがEchoの開発チームに課した過酷な命題だったことは、以下の記事で確認できます。

Amazonのハードウェア史上最大のヒット商品になったスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」誕生秘話 - GIGAZINE



もちろん、質問したことにAlexaがうまく答えられない場面もよくあるそうですが、Amazonは機械学習を取り入れているため、Echoのユーザーが増えて入力が増えれば増えるほど、Alexaの回答の精度は高まることが期待できます。

ノートン氏がEchoが重要な製品だと感じる点は2つ。1つは、Echoは「家庭」をターゲットに見定めて、タッチ操作よりも使い勝手のよい「音声コントロール」に取り組んでいること。2つめは、EchoがIoT製品と極めて高い親和性を持つことから、急速に発展するIoTのエコシステムを取り込めるところ。現時点では多くのIoT端末がスマートフォンとの連携を余儀なくされていますが、家庭内でのIoT端末の利用ではスマートフォンは使いづらく、Echoのような製品の方がふさわしいとのこと。

なお、AmazonがAlexaを使って家庭内のあらゆる製品をコントロールするハブとしての"オペレーティングシステム"という地位を着々と構築している様子は、以下の記事で解説されています。

Amazonの音声認識「Alexa」は世界のIoTを席巻し「スマートフォンの次」のプラットフォームの覇者となりつつある - GIGAZINE



Echoを使ってみて音声コントロールが快適でまったく不満のないことを確認し、想像通り便利で素晴らしい製品だと感じたノートン氏でしたが、それと同時に「Alexaが聞き取った内容は、一体どこにいっているのだろう?」という疑問が思い浮かんだとのこと。家庭内の中心にいて、あらゆることを聞いているEchoには、ユーザーの「プライバシー問題」が潜んでいることは明らかです。この点についてAmazonは「Echoはいつも聞いていますが録音はしていません。『Alexa』というトリガーワードを確認したあとで初めて音声データをクラウドに送信します」という回答に終始しておりプライバシー問題をうまくかわそうとしているとノートン氏は感じているそうです。

しかし、Amazonの言葉を疑っているアメリカのユーザーは確実におり、アラスカで起こった殺人事件の公判では事件の真相究明のためEchoが記録した音声データの提出が求められているそうです。いずれにせよ、Echoを使うことでノートン氏は、「Technology is neither good nor bad; nor is it neutral(テクノロジーは善でなければ悪でもない。そして、中立でもない)」というクランツバーグの第1法則を、改めてかみしめているそうです。