博物館では、日章旗を模したカードに批判が書き込まれていた

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 日本を貶める、歪曲された歴史が世界中に拡散され続けている。昨年12月、ついに親日国・台湾でも慰安婦博物館が開館した。オープニングセレモニーとして企画されたシンポジウムには、各国の反日的な慰安婦運動家たちが結集。その現場に西谷格氏が潜入した。

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 シンポジウムは台湾・韓国・中国・日本の4か国から人権運動や慰安婦博物館の運営に携わる人々が一堂に会して、“慰安婦サミット”の様相を呈していた。2015年に慰安婦をユネスコ記憶遺産に登録申請した件(結果は却下)についても触れ、2017年に改めて登録を目指す姿勢が確認された。

 午後は日本から「女たちの戦争と平和資料館」事務局長の渡辺美奈氏が登壇。博物館を拠点にした社会運動(ミュージアム・アクティビズム)について解説を始めたが、徐々に不穏な発言が飛び出てきた。

「大事なことは、加害の歴史を伝えること」と力を込めると、目の前のスクリーンに突如、「天皇裕仁と日本軍性奴隷制の責任者たち」と書かれたスライドが出現した。

「被害者は名乗り出て戦っているのに、加害者はどこで何をしているのか、責任者を処罰せよ。という訴えが韓国からありました」

 どこで何をしているって、もうほとんどみんな亡くなっていると思うのだが……。渡辺氏は日本人の加害者意識が乏しいことを嘆いた上で、「謝罪や賠償を実現できていない日本政府の有権者の一人であるという責任を背負って、活動しています」と締めくくった。同時にスクリーンに「女性たちの被害と日本の加害を伝え続けます」と映し出される。“良識ある日本人”の代表として、会場からは大きな拍手が送られた。

 トリを務めたのは、上海から来た中国“慰安婦”歴史博物館の館長、蘇智良氏。同博物館は、中国初の慰安婦像が設置された上海師範大学内の施設だ。唯一の男性登壇者で、歴史学者の肩書が説得力を高めている。

「世界の文明史上、このように国家権力によって女性の人権を侵害する大規模な性奴隷制度は非常に稀で、もはや空前絶後と言えるでしょう」
「日本軍は現地の女性を捕まえて、自分たちの性奴隷にしたのです」

 このように蘇氏は、日本軍がいかに邪悪だったかと繰り返し強調しながら、中国に存在する4か所の慰安婦博物館について仔細に説明した。

 最後に台湾の代表者が「日本人の憎らしいところは、世界に対して科学や医学など多くの貢献をしているのに、普遍的価値観に対してあまりにも貢献が少ないところ」と悔しそうに訴えた。

 イベント終了後、台湾の参加者の20代女性に声を掛け、感想を聞いてみた。すると「うーん、何とも言えないなあ。歴史の名残を感じるけど……」と歯切れが悪い。

 敢えて「日本政府に対して反感を抱かない?」と水を向けた。中国であれば99%、「日本国民は嫌いじゃないが、日本政府には反感を覚える」と答える場面だ。だがここでも「特に感じない。この問題はこの問題として分けて考えている」と大人の対応だった。

 台湾では慰安婦問題はまだまだ認知度が低く、博物館側が「慰安婦は強制連行された性奴隷」、「日本は正式な謝罪を一切していない」と訴えれば、多くの人はその言葉通りに受け止める。事実と異なる“偽りの歴史”が拡散すれば、将来の日台関係にも影を落とすことになりかねない。

※SAPIO2017年2月号