アレは優勝しません!

私、長年に渡り大相撲を、特にアレを見てきたものです。アレアレ言うとまったく意味がわからない方もいると思いますが、ついに優勝するんじゃないかと言われているアレです。僕が思うに、アレの今場所優勝はナイと思います。世間ではにわかに「今場所は絶好機」「もう大丈夫だろう」「横綱がふたりも休んでいるし白鵬も負けてる」などと言っておりますが、その程度のことで優勝するくらいならとっくにしているのであります。

ハッキリ言って、アレは「相手が強い」ことで優勝を阻まれているのではありません。白鵬にだって、日馬富士にだって目の覚めるような完勝を演じることもたびたびあったわけです。鶴竜にいたっては「安牌」と言ってもいいほどに対戦成績で上回っており、先場所までの時点で「アレ:31勝−17勝:鶴竜」と倍近く勝っているのです。横綱を安牌にする力士がどれだけいるものかと。

しかし、「今日勝てば優勝だろう」というところまで煮詰まってくると勝てない。相手が強いというよりも、コッチが急に弱くなる。別人のように弱くなる。そこが解消されないかぎりは、状況がどう整おうが無駄なのです。

↓見た感じダメそうでしょうが!プレゼンでこの顔の人が立ちあがったらダメそうでしょうが!

高見盛が自分の顔を殴り終わったあとみたいなのが歩いてる!

見るからに負けそう!

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では、そもそも何故、今場所このようなことになっているのか。それはひとえに「運」です。運がよかった。これは実力がついたとか、前より強くなったとか、そういうことではありません。実力はもう何年もこのぐらいのところで安定しておりますし、その実力をもって何度も何度も優勝し損ないをしているのです。何が変わったか。何も変わってない。じゃ、ダメだろう。普通に考えればわかりそうなもの。何故わからないのか。これが「にわか」というヤツなのでしょうか。

アレにはハッキリと苦手な相手が何人かいます。白鵬は史上最強クラスの力士ですので例外とし、日馬富士も実績十分の横綱なのである程度負けるのは仕方ないでしょう。しかし、「アレ、これにそんなに負けてるんだ?」と思う相手が何人かいます。琴奨菊(30勝33敗)、栃ノ心(16勝8敗)、栃煌山(24勝14敗)、碧山(12勝6敗)。そして、すでに引退してはいますが把瑠都との対戦成績は6勝21敗です。このあたりに共通するのは一点集中型であるということ。

立ち合いドーンからのチカラでゴリゴリ、立ち合いドーンからの体重でゴリゴリ、立ち合いドーンからのもろ差しで一気。「自分コレしかないすから」タイプの相手の「コレ」をまともに受けて、地力で止められなかった場合はやられてしまう。正々堂々の横綱相撲という見方もできるし、逆に言えばお人よしであるとも言える。変化すればバッタリとコケそうな相手や、猫だましすれば目をつぶってビクッとしそうな相手にも、両手を広げてバッチコーイと受け止め、負けてしまう。

特に煮詰まってくると、よりその傾向が強まっていく。緊張する、硬くなる、立てなくなる。立てなくて間を取る。ますます立てなくなる。待ったする。いよいよもって立てなくなる。立ち遅れる。ドーンでもっていかれる。負ける。口を真一文字に結んで記者の前を足早にとおりすぎ、風呂場の扉をバーンと閉めて、風呂のなかで「アーーーッ!!」と奇声をあげる。これが様式美であり風物詩です。

それが今場所は、たまたま上手くいってしまった。まず、碧山は最近の成績が振るわないことで上位陣と対戦のない下位に落ちている。栃ノ心は対戦する前に休場した。栃煌山には何故か火の出るような相撲で勝ってしまった。番付上の偶然と、栃煌山との取組での「たまたま」が世間を悲しいカンチガイに導いてしまった。

しかし、内実は特段強い感じでもありません。四日目の松鳳山には懐に入られてからの突き落としての逆転勝ちとなり、行司が軍配を上げ間違うほど追い込まれました。八日目の隠岐の海も追い込まれてからの突き落としでしのいだだけ。「今場所はいいな」ではなく「突き落としがたまたまつづけて決まったなぁ」というのが率直な印象。むしろ、右の上手はとらせてもらえず、苦しい態勢で抱える相撲が目立っています。いつもどおり脇が甘い。

↓追い込まれたけれど勝ててラッキーだったなという相撲の連続!



友綱:「ただいまの協議について説明いたします」
友綱:「行司軍配……」
友綱:「松鳳山に一度上げましたので」
友綱:「えー」
友綱:「行司…本人も…」
友綱:「上げたのをわかって…」
友綱:「えー…」
友綱:「勝負つぃ…」
友綱:「稀勢の里が勝ちということで」
友綱:「上げ直しましたけれど」
友綱:「協議の結果、稀勢の里の」
友綱:「勝ちとします」

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本来なら序盤で3つもしくは2つくらい負けてくるところが、たまたま負けがつかなかったことで見かけ上のトップに立っているだけなのです。豪栄道で言えば序盤から首投げしまくっているようなもので、「今までより強くなった」感じはまったくなく、「コインの表が連続して出てるなぁ」程度にとらえるべきところ。案の定、ほとんどの相手に負けている琴奨菊には負けました。表⇒表⇒表ときたらそろそろ裏が出る、そんな感じの負けでした。

ここからの残り四日間、対戦相手は勢⇒豪栄道⇒豪風⇒白鵬となるでしょう。対戦成績は「13勝0敗」⇒「25勝14敗」⇒「20勝5敗」⇒「15勝44敗」です。白鵬は当然として、豪栄道にもまぁまぁ負けています。豪風にはさすがに大きく勝ち越していますが、最後に負けたのは綱取りをかけた場所でのものでした。終盤戦3連敗まであるかもしれない……と考えるのはまだ若い。

「ここで今まで一度も負けたことがない勢に負ける」というのが、美しいアレストーリー。「星ひとつの差の貯金を最後まで持ちこせばイケる…」という勝機を無残に打ち砕き、「まだトップで並んでいるから…」という希望を無残に打ち砕き、「千秋楽に自力で逆転を…」という願いを無残に打ち砕き、「せめて意地だけでも…」という最後のチカラを普通に打ち砕き、終わってみれば10勝5敗くらいとなる。プロのアレウォッチャーはココで「3つ負けて優勝の可能性を消し、普通に白鵬にも負ける」という4連敗をイメージするのです。

↓こんなラーメンなど出して調子に乗って、優勝できるわけがない!

アレをじっくりコトコト煮込んでダシとったみたいなパッケージだな!

製造工程で間違って毛が混入してたら高安のせいにされそうだ!

思い返すは平成24年の五月場所。あの旭天鵬が優勝した波乱の場所です。この場所、アレは十一日目を終えて10勝1敗と「次点に2差」をつける単独トップに立っていました。しかし、そこから栃煌山に負け、白鵬に普通に負けで貯金を吐き出し、日馬富士には何とか勝ったものの、勝てば優勝決定戦進出だった千秋楽は把瑠都に負け。「十一日目を終えて2差リード」から優勝決定戦にすら出られずに終えたのです。

で、今、何日目で、何個リードでしたっけ?

十一日目を終えて、「次点に1差」の単独トップでしたよね。「次点に2差」でダメなものが「次点に1差」でいける道理はないでしょう。個人的に優勝に推したいのは、東の前頭10枚目の貴ノ岩。貴乃花親方の薫陶を受けたモンゴル出身力士は、昨年の名古屋場所で12勝3敗の準優勝を経験済み。下位に2敗力士が多く残るため、今場所の頭数少ない上位勢で全部を潰すのは難しく、ひとつふたつ難所をしのげば残り全部勝つ可能性は十分にあります。

そもそも論として、「優勝とか気にしなくていいから」「リラーックス、リラーックス」「緊張したらくちびるをモーニョモーニョしなさい」と言われて送り出される力士と、「不惜身命…相撲道…一子相伝…不撓不屈…」と小刀でも握らされて送り出される力士と、どっちが勝ちそうかという話。100も200も試合をするなら地力に勝るほうが勝つでしょうが、3つとか4つの勝負なら地力どおりになんてなりません。優勝は貴ノ岩、平成24年7月場所の再現となる平幕優勝でしょう。

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プーーーッ!

「新年こそ綱を!」だって!

優勝もしてないの急に新年だから綱だって!

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このように過去の歴史と現在の土俵は「アレは優勝しない」と雄弁に物語っています。どうぞみなさまも落ち着いてください。ジャンケン大会だって、誰かは連続で勝つのです。それはジャンケンに強いからでも何でもなく「たまたま」です。「たまたま」に踊らされることなく、もっとドッシリと相撲を見ていこうではありませんか。

アレの優勝は決定的な何か、人生観を変える何かがあるまではないでしょう。「すごいイイ嫁を娶る(サポート/自覚)」「肉親もしくは親友の死(弔い/自覚)」「病気の子どもとの出会い(責任感/勇気/自覚)」「グリーニー(すごく興奮する)」などの何かが必要です。なので、アレが優勝するかどうかは、場所前のスポーツ新聞で大体わかるのです。今場所は特に目新しい転機はなかったので、優勝はしません。

優勝は、しません。どうぞご安心を。

タッカノイワッ!タッカノイワッ!タッカノイワッ!タッカノイワッ!