多賀城市立図書館の世界史コーナー

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 1月14日付当サイト記事『ツタヤ図書館 古本を市場価格の9倍で大量購入の疑い…1冊ごとの価格精査せずどんぶり勘定』において、2016年9月21日に開催された宮城県・多賀城市議会決算特別委員会で、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が管理者となった多賀城市立図書館(通称:ツタヤ図書館)の蔵書購入に関する疑問点が追及されたことを紹介した。今回も、同市議会でツタヤ図書館の運営にまつわる問題点が追及されている様子を紹介したい。

“反ツタヤ図書館”の急先鋒と目されている共産党の藤原益栄議員は、新図書館の運営を強引にCCC決めたといわれている市長サイドの姿勢を、これまでも厳しく追及してきた。その藤原議員が市議会でツタヤ図書館の配架問題を取り上げた。

 藤原議員が問いただしたのは、多賀城市が新図書館建設にあたって「東北随一の文化交流拠点」と銘打って、もっとも力を入れていた郷土資料の扱いについてである。

 市教育委員会の担当課長が、新図書館において「古典を重要視する」との方針を述べたことを受けて、重要な郷土資料がどのような位置に配架されているかを質問した。

 この質問を予期していなかったのか、担当課長は「『古典』か『歴史』の分類ではないか」との認識を示した。

 だが、実際には「世界史」コーナーの一番上の棚にあり、それも高さ1メートルの脚立を持ってこないと手が届かない場所だという。藤原議員は、先に「古典を最重視する」と答弁した担当課長に、「古典を大事するというのは、手が届かないところに触れられないように飾っておくという意味」なのかと詰問した。

 これに対して担当課長は、高い位置にある図書の場合、ストッパーのある棚と、それがない棚とでは配架の流れが違うため、ひとつの本棚・書架として見た場合に、食い違いが出てしまった部分と説明したうえで、「一定のルールに従って見ていくとすれば、それほど図書を探すのに当たっては困難なことではない」と反論した。

 反論の雑さに、藤原議員はさらにヒートアップした。実は、同議員は地元の歴史郷土についての著書を持つほど、歴史郷土に対する造詣が深い文人なのだ。そのため、郷土資料が手に届かない場所に配架されていることは許容しがたい問題だと認識している。

 ツタヤ図書館を視察して、書架の中身も見ずに「素晴らしい」と褒める地方議員が圧倒的に多いなか、新図書館が重視するとしている地元の歴史郷土研究の観点から、不備・疑問点を鋭く指摘している。

●はぐらかす教育長に厳しい追及

 担当課長の言い訳にしびれを切らした藤原議員は、今度は教育長に矛先を向けた。実は、藤原議員はこの質疑の冒頭で、郷土の歴史風景地保存プロジェクトについて教育長にも意見を求めて「市の街づくりというのは、歴史文化を核としながら、東北随一をめざす」との言質を引き出していた。

 そこで藤原議員は、歴史文化を核とすると述べた教育長に、手が届かないところ歴史郷土資料が置いてあることについて、どう思うかと質問した。

「今、課長がお話ししたとおりでありますが、当然、多賀城市は歴史文化というふうなことでありますから、それを粗末にしていることではございません。ただ、いわゆる十進分類法というふうな立場から見れば、何かあるところにないなというふうなことになるんだと思いますが……」

 このように、教育長がのらりくらりとはぐらかすような答弁をしたことで、業を煮やした藤原議員は、「国史大系が世界史のコーナーにあることについて、なんの違和感もありませんか」とストレートに投げかけた。

 だが、教育長は必死に質問をかわそうとする。

「ですから、多賀城市が歴史文化という立場に立てば、何だ、そんな高いところにというふうなことでありますが、先ほど課長がお話ししたとおり、開架の書庫というふうな考え方もありますし、これがすべてではございませんが、高いところにあって、当初そういうふうな置き方をしたと。必要頻度においてどんどん入れかえをしているというふうに話を聞いておりますので、そういうふうな必要頻度といいますか、そういうふうな立場から閲覧方法といいますかそういうふうなものを現在はやっております」

 いらだったように藤原議員は同じ質問を繰り返した。

「世界史のコーナーに国史大系が並んでいるということについては違和感がありませんか。答えてください!」

 このようなやり取りが繰り返され、藤原議員は議長に「さっきからまともな回答をしていないので、きちんと答えさせてください」と抗議し、議長は10分間の休憩を挟むことを決めた。

 再開後も教育長は、歴史郷土資料の配架がおかしいとは認めなかったが、根負けしたかのように、「藤原議員のように専門的な立場に立てば、これはな、というふうな思いはあります」と、問題点がないとはいえないとの発言をした。

 それを受けて藤原議員は、「違和感という言葉は使いたくないけれども、それに近いような感じは持っていると、そういう感じの答弁でした」とまとめた。

 この後、藤原議員はCCC独自の蔵書分類方法、「ライフスタイル分類」についても、「現代文学全集の中に新日本古典文学大系とか時雨亭叢書が置いてある理由がわからない」などと、古典の調査・研究するにあたって、甚だ不便な配置になっていると指摘して改善を求めた。

●入館者をごまかす副市長を断罪

 そして質問の締めくくりに、ツタヤ図書館に関連して、鈴木明広副市長に懸案事項を投げつけた。

 鈴木副市長が、多賀城市の図書館の利用者が16年8月末までに80万人を超えたと述べたことを問題視したのだ。

 だが、それは図書館が入居するビルの入場者数であって、図書館の利用者ではないのではないかと問いただした。

 鈴木副市長は、「(80万人は)A棟(図書館入居ビル)の入場者数で、図書館の入場者数とは異なる話」と認めつつも、「そのぐらいの勢いで入場者が伸びておりますということでお話をした」と釈明した。

 また、担当課長も「図書館が開いている時間帯にA棟に入った人の大半は図書館に来た」と推定できるとし、80万人は有効な数字だと主張した。

 だが、藤原議員は、図書館の出入り口にカウンターを置いておけば確認できるのに、図書館利用者の正確な数字を出せないようなシステムにしている市教委の責任を激しく非難した。

 図書館としての中身や社会教育という本来の目的を軽んじ、粉飾まがいの集客データによって体裁を取り繕うことばかりに力を入れてきたツタヤ図書館だが、これから正常化するためには、議員をはじめ市民たちが根気強く注視して、改善を求め続けていかなければならないだろう。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)