「編集長、産むことのメリットとデメリットをわかりやすく教えてください」働く30代女性のためのニュースサイト「ウートピ」の海野Pが、ワーママ編集長に詰め寄ったことからスタートした企画、いよいよ本題スタートです。この企画ができた経緯についてはプロローグをご覧ください。

私(左)と海野P(右)

確実に「仕事なんか」になる

「私から仕事をとったら何も残りません。でも、私、全然不幸じゃないです。休日とか、要らないんで」そう堂々と宣言しちゃうほど、仕事が好きでワーカホリックな「ウートピ」の海野P(プロデューサー)。

そんな海野Pが「産むことのメリットとデメリット」と聞いて、一番に知りたがるのは「仕事」のことに決まっています(だよね?)。「仕事」に関しては書くべきことがたくさんあるので、数回に分けて書いていきます。今回は「仕事のプライオリティ」について。

まず、産んだら、仕事はどう変わるのか?

これは、ガラリと変わります。ものすごーく変わります。「仕事が一番」は金輪際ありえなくなります。「それは、絶対にありません! 産んでも、私は変わりません!」という海野Pの反論が間髪いれず飛んできそうですが、残念ながら、確実に変わります。どんなにワーカホリックでも、どんなに重要なポジションに就いていても、どんなに会社の経営がやばくても、100%確実に「仕事が一番」ではなく、「子どもが一番」になります。

「どうしてそうなっちゃうんですか?」

と私の中の海野Pが聞いてきますが、そんなの、理由なんてありません(ごめん、これだけは言語化のしようがないです)。自分の命なんて簡単に投げ出せちゃうくらい大切な存在ができるわけだから、仕事なんか、完全に「仕事なんか」に成り下がります。

「あ、だから、時短ママとかやる気ないんですか?」

そんな、著しくポリコレを欠いた発言を実際の海野Pは絶対にしないけれど、ここまで読んで、そう感じている方も少なからずいると思うので、私の中の海野Pに代弁していただきました。

いいえ、そうではありません。やる気がなくなるのではありません、単純にプライオリティが変わってしまうのです。「眺め」が変わってしまうのです。

結果として、周囲から「やっぱりママになったから……」と言われてしまうかどうかは、本人次第。実際、「子どもが生まれたらからヒマ部署に異動したい」「1人目の育休中に2人目を仕込んで、できるだけ長く仕事を休んでいたい」っていうワーママだって大勢います。一方で次に書くように、「働く背中を見せたい」というママもいる。

バリキャリ・ワーママの心の中

週7とかでシッターさんに預けまくって、出張も辞さず仕事をしているママも超少数派ながら存在します。すごいと思います。その覚悟と体力、心から尊敬しています。ただ、そういうママたちが「仕事一番」かといえば、実は違うと思うのです。

娘を産んでから、「娘が誇れる仕事をしよう」と素直に思えるようになりました。「人から認められる仕事をしよう」でも、「稼げる仕事をしよう」でも、「社会に貢献できる仕事をしよう」でもなく、シンプルに「ママはAちゃんと会えないあいだ、こういう仕事をしてるんだよ」と言える仕事をしよう、と。そして娘が大きくなった時に「ママって、いい仕事してるよね」と言ってもらえる仕事をしよう、と。

週7でシッターさんに預けまくってるワーママも、多分、そうなんじゃないかな。「この子が大きくなった時に、自慢できるママになりたい」という願いから、会えなくて寂しい気持ちにフタをして頑張ってるんじゃないかな。そういう意味で、やっぱり「仕事が一番」ではなく、「子どもが一番」だと思うんです。

とにかく「迷い」は消える

「仕事が一番じゃなくなるのかあ。子どもが一番になっちゃうのかあ。なんか、寂しいなあ」

原稿をここまで読んで落胆しているであろう海野Pに、最後に一つ朗報を。

産んだら「迷い」は消えます。

そもそも「仕事が大事か、子どもが大事か」にも迷わなくなるし、「この仕事をやるべきか、やらざるべきか」にも迷わなくなります。子どもと一緒にいる時間を犠牲にしてまでやるのだから、「やるべき仕事」以外は、絶対にやりたくないと考えるようになります。ムダな仕事や中途半端な仕事に時間を割くなんて、許せなくなります。引き受ける仕事が、成果の見込めるものかどうか慎重に考えるようになります。そして、「やる」と決めた仕事は、必要最小限の時間と労力でやりとげるようになります。

すべてに、おのずと答えが出ます。

ね? 悪くないでしょ?

次回は「仕事におけるデメリット」について書いていきます。

(ウートピ編集長・鈴木円香)