JAPAN KICKBOXING INNOVATION公式サイトより

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 現役キックボクシング王者が「振り込め詐欺」で逮捕されるという衝撃のニュースが、格闘技界を驚かせた。

 1月17日、長野県警はINNOVATIONスーパーフェザー級王者、RYOTA(本名・寺田亮太)容疑者を逮捕。調べによると、RYOTA容疑者は昨年7月、詐欺グループのメンバーとして、同県在住の70代女性に息子を名乗って電話をかけ「1,000万円が必要」とウソを言い、別のメンバー(逮捕)に女性から現金1,000万円を騙し取らせた疑い。容疑の認否は明かされていない。

 キック関係者は「山梨県のキック興行を引っ張っていた中心の選手ですから、今も信じられない」と驚く。

「実際、試合のときは彼の応援団が150人ぐらいチケットを買って集まるので、興行を支える貴重な存在になってました。金髪でヒゲを生やしていてアウトローっぽいルックスですけど、まだ24歳で話した感じは好青年そのもの」(同キック関係者)

 RYOTA容疑者の戦績は16勝(4KO)6敗。山梨県甲府市にあるマイウェイジム所属で「山梨の新星」と呼ばれ期待されていた。2009年のデビュー戦こそ黒星だったが、MA日本キックボクシング連盟を主戦場に勝ち星を重ね、翌年の新人王トーナメントに優勝。13年には連盟から派生した新興団体、JAPAN KICKBOXING INNOVATIONに参戦し、同団体の初代フェザー級王座決定戦に勝利した。

 このタイトルからは翌年、初防衛戦で1RKO負けにより陥落したが、昨年11月の同スーパーフェザー級王座決定戦に勝利し、2階級制覇したばかりだった。

「試合後はジム会員や知人の子どもたちをリング上に集めて『負けたら引退と思っていたけど、今後はベルトの価値を高める』と誓っていたのに……」と前出関係者。

 過去、ジムで一緒に練習していたことのあるキックボクサーも「まさか……」と目を丸くしている。

「彼がまだ中学生のときから練習をしているのを見てきたけど、まったく不良なタイプではなかった。アマの試合で6連敗しても腐る様子なく練習に励んでいた。ただ、昨年の夏といえば、RYOTAが調子を落としていた時期。結果が出ないと私生活が乱れる選手もいる」(同)

 一方、RYOTA容疑者の試合を観戦していた人間の中に、準暴力団の「半グレ」メンバーがいたというウワサもあった。その人物はRYOTA容疑者の試合の際はチケットを大量購入し、仲間を引き連れて大声を張り上げて試合観戦していたといわれる。

 アメリカなどと違って、格闘技興行を行うのに公的な申請や精査の必要がない日本では近年、不良グループが格闘技団体を旗揚げし、結束力を生かしたチケット販売で資金を生む“悪の稼業”化している実例もある。RYOTA容疑者はそういった興行に出場したわけではないが、似たような流れで業界に出入りする不良グループと接点を持っていた可能性はある。

「確かにチケットをたくさん売る人は、その相手が誰であっても主催者は黙認してますからね。“飯の種”なので、ヤクザやチンピラがいても見て見ぬ振りすることは多いですよ」と前出関係者。

 先日、スペインではボクシングジムのモロッコ人コーチが、若い練習生たちをテロリストに育成する役目を担っていた疑いで逮捕された。日本ではそこまでの極端な事例はないが、現役チャンプが振り込め詐欺グループのメンバーだったことで、その界隈にも怪訝な視線が向けられている。

 RYOTA容疑者が、いったいどういった経緯で犯罪組織と関わりを持ったのか、捜査の進展が待たれる。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)