<米国で利用可能な抗生物質26種類すべてに耐性を持つ細菌に感染した米国人女性が、昨年9月に死亡していたことを、米疾病予防管理センター(CDC)が発表した...>

 米国で利用可能な抗生物質26種類すべてに耐性を持つ細菌に感染した米国人女性が、昨年9月にネバダ州の病院で死亡していたことを、米疾病予防管理センター(CDC)が1月13日に報告した。多くの抗生物質に対する耐性を有する多剤耐性細菌、いわゆる「スーパー耐性菌」は、インドから感染が広がりつつあることが数年前から指摘されてきたが、この女性も過去にインドの病院で治療を受けていた。

患者は70代女性

 CDCによると、この患者はネバダ州ワショー郡に住む70代の女性。女性は2014年頃、インドを訪問中に右大腿骨を骨折し、さらに大腿骨と座骨に感染症を発症して、インドの病院で昨年6月まで複数回の入院治療を受けたという。

 女性が帰国したのは昨年8月上旬。同月18日には救急処置病院に入院して全身性炎症反応症候群と診断され、翌19日にはカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)への感染が確認されたことで、院内感染を防ぐため隔離された。

 女性から採取されたCREは、現在米国で治療に使用できる26種類の抗生物質すべてに耐性を持っていた。女性は9月上旬、敗血症で死亡した。

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未認可の抗生物質で助かった可能性

 CDCの報告によると、この細菌の分離株を使ったテストで、ホスホマイシンという抗生物質が細菌に対して有効だった可能性があることがわかった。ただし米国では現在、ホスホマイシンは膀胱炎の治療用に経口薬としてのみ認可されており、今回の治療には使えなかった。米国以外では、ホスホマイシンが静脈内投与製剤として使用できる国もあるという。

広がるCRE感染

 今回のニュースに関連し、米CNNは17日、CREがこれまで考えられていたよりも広く拡散している可能性があるとする、複数の研究機関による学術論文(PDF)紹介した。この記事によると、米国では毎年9300人がCREに感染し、600人が死亡していると推定されるという。一方、日本の国立感染症研究所の発表では、国内における2015年のCRE感染の報告件数は1699件で、そのうち59人の患者が死亡したとしている。

高森郁哉