photo by jon crel via flickr(CC BY 2.0)

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 1月6日、検察当局が2017年度から、捜査や公判で検事を補佐する検察事務官の研修制度の改革に乗り出すことが、検察関係者への取材で分かったと報道されている。“デジタル機器を扱う技術や英語力に秀でた人材を確保するほか、実践的な研修を増やし、捜査力の向上につなげるのが狙い”としている。(参照:日経新聞)

 検察事務官の仕事は、仝〇ヾ韻了愆を受けて犯罪の捜査,逮捕状による逮捕,H涯發猟Ъなどの事務である。

 一般の人には、検察事務官の仕事は馴染みが無いと思われるが、さいたま地方検察庁の「当庁職員(検察事務官)からのメッセージ」では、“私自身,高校を卒業して数週間で,検察庁で働き始めるということに初めは戸惑いましたが,採用後すぐに約1か月間の研修があり,基本的なビジネスマナーから検察事務官として必要な知識まで多くのことを学び,採用当初に抱いていた不安は払拭されました。”(採用1年目(H28.4月採用) 高卒男性)など、数名の検察事務官からのメッセージが掲載されており、新人研修が機能していることが窺える。

 上記のデジタル機器を扱う技術や英語力に秀でた人材を育成したいという検察当局のニーズの中から、今回は、デジタル技術にフォーカスを当ててみたい。

◆高まる「デジタル・フォレンジック」(DF、電子鑑識)の重要性

 検察事務官に対して、近年、捜査でパソコンやスマートフォンに残るメールなどの記録を復元する「デジタル・フォレンジック」(DF、電子鑑識)の重要性が高まっていると、上記報道の中で記されている。

 デジタル・フォレンジックとは、コンピューターやデジタル記録メディアに残された情報を収集・解析して法的証拠として活用するための手段や技術のことを指す。大雑把に説明すれば、通常の警察では「鑑識」が現場の保全や証拠収集、検証などを行うわけだが、これをネットワークやデジタル機器上で行うこと、と言えばおわかりだろうか。

 2010年9月21日、大阪地検特捜部の主任検事が証拠物件のフロッピーディスクを改ざんしたとして、証拠隠滅の容疑で逮捕された。この事件をきっかけに、DF技術が東京、大阪、名古屋各地検の特捜部に導入されたが、今年4月以降、東京地検と大阪地検に拠点を設置する方針を固めていることが既に判明している。DF技術を活用して、記録の復元のほか、破壊された機器のデータ抽出や解析、防犯カメラの画像補正などが行えるようにするという。

◆元自衛官が起業した有力DFベンチャー

 DFに関して、国内トップ企業のひとつが「FRONTEO(フロンテオ)」である。2016年7月、「株式会社UBIC」から社名変更されたばかりなので、旧社名であるUBICのほうで知られているかもしれない。元自衛官である守本正宏氏が起業した同社のDF技術は、警察、検察、国税庁で利用されている。

 FRONTEO(旧UBIC)は、“独自開発の人工知能エンジン「KIBIT」により、ビッグデータなどの情報解析を支援するデータ解析企業であり、国際訴訟などに必要な電子データの証拠保全と調査・分析を行うeディスカバリ(電子証拠開示。ディスカバリ(証拠開示)は、被告・原告の双方が証拠を開示する米国訴訟独特の制度であり、電子データを取り扱う作業はeディスカバリ(電子証拠開示)と呼ばれる)や、コンピュータフォレンジック調査を支援する企業として2003年に創業。自社開発のデータ解析プラットフォーム「Lit i View(リット・アイ・ビュー)」、アジア言語に対応した「Predictive Coding(プレディクティブ・コーディング)」技術などを駆使し、企業に訴訟対策支援を提供しています。訴訟対策支援で培ったFRONTEO独自の人工知能は、専門家の経験や勘などの「暗黙知」を学び、人の思考の解析から、未来の行動の予測を実現、最近では医療やビジネス・インテリジェンス、マーケティングなどの領域に人工知能を活用し、事業の拡大を進めています。”としている。(参照:同社報道資料)

◆米国でも事業を展開

 DFにおけるFRONTEOの強みは、海外製品が、例えば日本語をはじめ、アジア言語特有の2バイト文字への対応が不完全である(例:文字化けが発生する)ことに比較して、2バイト文字への対応に強みがあることが挙げられる。FRONTEOは、米国でも事業を展開しており、日本企業やアジア企業の訴訟に関連して、DFによるサポートを行っている。

 FRONTEOのフォレンジックサービスは、情報漏洩や内部不正等の問題が生じた際に、顧客からの依頼を受けて提供されたパソコン等を、いつ、誰が、どのようなことをしたのか不正調査の観点から調査し、調査結果を顧客へ提供するサービスである。端末PCからサーバーに至るまでさまざまなデジタルデバイスの中にある膨大なデータの中から証拠として必要なデータを限られた時間の中で抽出し調査でき、また、調査結果は捜査や訴訟における証拠データとしても使用することが可能であるという。(参照:同社有価証券報告書)

 FRONTEOなど先進企業のDF技術は進化している。検察事務官へのDF技術研修が、捜査力の向上へと繋がるか注目される。

<文/丹羽 唯一朗 photo by jon crel via flickr(CC BY 2.0)>