香里奈の無表情、木村多江の薄幸さに釘づけ【木曜ドラマ】

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【スナイパー小林の2017冬ドラマ評 木曜編】

 2017年の冬ドラマが始まった。全作品視聴のうえ、ライターのスナイパー小林が勝手に評価、放送曜日ごとに紹介していく。あくまでも主観をぶっ通していくので、多少の本音が見えてもお目こぼしを……。まずは人の“本音”が炸裂していく2作品がそろった木曜日からどうぞ。

◆木村多江の薄幸さが本気を出してきた

●就活家族〜きっと、うまくいく〜
テレビ朝日 木曜21時〜
出演:三浦友和、黒木瞳、前田敦子

 富川家は、全員がそれぞれに家族には言えない悩みを抱えている。大手鉄鋼メーカーの人事部長をする父・洋輔(三浦友和)は社内で問題を抱え、厳しい立場に立たされている。ちゃっかり者でOLの長女・栞(前田敦子)は仕事でのセクハラに悩み、就活中の長男・光(工藤阿須加)はなかなか内定先が決まらない。そして高校教師の母・未希(黒木瞳)も何かを抱えていそうな気配……。

 就活にリストラにセクハラ。現代のサラリーマン事情がいろいろ拝める内容だ。

 第一話で洋輔が取引先の銀行頭取の横暴な息子を怒鳴り散らして、彼を改心させるシーンがあった。「え、このまま正義は勝つ、みたいな面白くもなんともない展開?」と思ったら、最後には社内の内部告発によって、洋輔はセクハラの疑いをかけられてしまう。問題の投げかけがうまいなーと思ったら、脚本は「華麗なる一族(TBS/2007年放送)」の橋本裕志さん……納得! 絶品!

 自分の事情でリストラ候補に入ってしまった川村優子(木村多江)が、洋輔にジリジリと詰め寄っていく展開もいい。ひさびさに木村多江の薄幸さが本気を出してきた感じがする。そして黒木瞳の息子は“光”っていう名前が多いのは偶然か。「魔女の条件(TBS/1999年放送)」 で息子役のタッキーの名前も光だったことを思い出したよ。

◆香里奈の無表情、どこまで続く

●嫌われる勇気
フジテレビ 木曜22時〜
出演:香里奈、加藤シゲアキ(NEWS)

 アドラー心理学を書いた『嫌われる勇気』を原作にした一話完結の刑事ドラマだ。庵堂蘭子(あんどうらんこ/香里奈)は、人に嫌われることをまったくいとわない、言動がアドラー心理学そのものの刑事。

 彼女のバディに、熱望した捜査一課に異動してきたばかりの青山年雄(加藤シゲアキ)がつくことに。そこへ警視庁に事件捜査に関する情報を提供している心理学科の教授・大文字哲人(椎名桔平)も加わり、事件を解決していく。

 嫌われても平気な蘭子は、ショーケースに並んだラスイチのショートケーキを小さな子どもが欲しがっても、自分が食べたいと譲らない。同僚とは群れない。携帯を持たない。卓越した事件の推理能力を持ち、他刑事の見解を「明確に否定します」の決めゼリフでバッサリと斬る。

 自分の思うままに生きている蘭子を演じる香里奈は役柄上、ひたすら顔に覇気がない。あれは演出、だよね?

 推理の天才、一匹狼の捜査、頼りないバディ、事件解決のヒントをくれる大学教授……とフジテレビの刑事ドラマ要素がぎっしり詰まっている同作。テンポ良くストーリーが進んでいくのがいい。それにしても第一話ゲストの南野陽子が遺体役をこなし、一時は月9のヒロインだった石田ひかりが犯人だなんて、時代の流れを感じずにはいられない……。

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter:@hisano_k