神経ストレスがさまざまな病気の原因になることが知られているが、東京大学と米コロンビア大学の共同研究チームは、神経ストレスが胃がんを進行させるメカニズムをマウスの実験で初めて明らかにした。

研究成果は国際的がん専門誌「Cancer Cell」(電子版)の2016年12月16日号に発表された。研究チームでは「従来の抗がん剤との併用で、新しい治療法の開発が期待できる」という。

抗がん剤との併用で治療効果が期待

東京大学の2016年12月26日付発表資料によると、人の神経細胞は全身に分布しており、特に胃腸には1億個以上が存在し、胃腸の動きや消化ホルモンの分泌を調節している。以前から神経ストレスがさまざまな病気を引き起こすほか、胃がんの進行に関わっていると言われていたが、その仕組みはわかっていなかった。

研究チームは、マウスの胃がん組織を詳しく観察、胃がんが進行する過程で、がん細胞が「神経成長因子」というホルモンを産生し、それに反応した神経細胞ががんの組織に集まることを突きとめた。がん細胞は、神経細胞から強いストレス刺激を受けると成長が加速した。神経細胞とがん細胞が互いに作用し合いながらがんを成長させることがわかった。

この「神経成長因子」の働きを抑える薬を与えたり、神経ストレスを放出する細胞を取り除いたりすると、マウスの胃がんの進行が抑えられた。今回の結果について、研究チームは発表資料の中で「神経ストレスが胃がんに与える影響とメカニズムを詳しく解明することができました。がん細胞の増殖を直接抑える従来の抗がん剤に加え、神経成長因子を直接抑える薬を使うことで、胃がん治療の効果を高める可能性があります」とコメントしている。