アパホテル(撮影=編集部)

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 リーズナブルな価格で人気の大手ホテルチェーン、アパホテルにまつわる騒動が相次いでいる。

 15日、アパホテルの客室に南京大虐殺を否定する書籍が置いてあると中国のSNS「微博」に投稿され、インターネット上で炎上状態となった。これを受けアパホテルの親会社、アパグループは17日、自社HP上で以下のとおり見解を示し、「本書籍を客室から撤去することは考えておりません」としている。

「ご指摘のあった書籍は、本当の日本の歴史を広く知っていただくことを目的として、弊社グループ代表の元谷外志雄が『藤誠志』のペンネームで月刊誌『Apple Town』に連載している社会時評エッセイを1年分まとめたもの」
「本書籍の中の近現代史にかかわる部分については、いわゆる定説と言われるものに囚われず、著者が数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した見解に基づいて書かれたものです」
「一方的な圧力によって主張を撤回するようなことは許されてはならないと考えます」

 さらに、これに先立つ12日発売の「週刊新潮」(新潮社/1月19日号)は、俳優の袴田吉彦(43)が30歳のグラビアアイドルと不倫していたと報じたが、袴田は密会場所としてアパホテルを好んで頻繁に使っていたという。同記事内では「格安料金で知られるアパホテル」と紹介され、ネット上では「芸能人がアパで不倫はセコい」「ケチくさい」などと話題になっている。ちなみに、アパグループではリゾート仕様のホテルも展開しているが、袴田が不倫相手と利用したは一般的なアパホテルのようだ。

 この“袴田アパ不倫”報道を、当のアパグループはどのように受け止めているのか、同社に問い合わせたところ、次のような回答を得た。

「弊社では市場価格で販売させていただいているので、格安という認識ではありません」

 アパホテルといえば、派手なスーツに目を惹く帽子を被った女性の写真に、「私が社長です」というキャッチコピーが書かれた広告を思い浮かべる人々も多いだろう。その元谷芙美子社長には『私が社長です。』(IN通信社)という著書があり、最初に広告を出した時に批判のメールや投書が殺到したことが書かれている。

 同書によれば、「あの広告のオバサン、でしゃばり過ぎ!」「主婦モデルを使ってウケをねらったみたいだけど、勘違いもはなはだしい」から始まり、「広告は公共の目に触れるもの。公害だ。見ている側にとっては、精神衛生上よくない。公共の福祉に反する迷惑広告は止めて!!」というものまであったという。

 しかし、「アパホテルが注目を浴びている!」とこれをチャンスと受け取った元谷社長は、メールや投書に丁寧な返事を書き、宿泊無料券を贈った。こうした逆張りの発想が、アパホテルの成長の秘密かもしれない。「客のほうが緊張してしまうようなホテルではいけない」「お客様の手に、ホテルを取り戻そう!」というのが、元谷社長のポリシーだ。

●大浴場が人気

 出張の際によくアパホテルを利用するという会社員は、こう語る。

「欧米ではホテルの部屋を一歩出たら、そこは公共の場です。日本のホテルでも、浴衣姿で廊下を歩くのはマナー違反だとされています。しかし、アパホテルにはだいたい大浴場があり、大浴場へ行く際は部屋から浴衣姿で行ってもOKになっています。今ではそういうホテルがほかにも増えましたが、アパホテルが走りでした。高級ホテルに泊まって緊張するよりも、アパホテルで寛いだほうがずっといいですよ」

 大浴場があるのがアパホテルの人気の理由の一つだが、大浴場に行く客は客室のバスルームを使わないので、ホテル全体の水道代を抑えることができる。客室のバスルームも、80%の湯量でもたっぷり感が味わえる、卵形のバスタブとなっている。

 また、一般的なビジネスホテルのシングルルームは15平方メートルほどの広さだが、アパホテルは11平方メートル程度のものが多い。一室当たりの投資額が少なくすんでいるわけだが、客にとっても動き回らずに用を足せるという利点がある。照明やエアコンなどを調整するパネルは、ベッドの枕元に備えられている。アパホテルの利益率は30%で、一般的なビジネスホテルの7倍以上だ。

 スペースを売るのではなく満足を売るのが、アパホテルのコンセプト。50インチの大型テレビがあり、アメリカのトップブランド、シーリーと共同開発した大型ベッドが備えられている。

 袴田の不倫の是非はともかくとして、アパホテルはデートに使うのにも遜色ないホテルといえるだろう。
(文=深笛義也/ライター)