「セックスで勃起力を高めるには、一にも二にも副交感神経を優位にすること。つまり、どれだけ自分をリラックス状態に持ち込めるかがポイントです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で、医学博士の志賀貢氏だ。本コーナーでもたびたび説明しているが、“勃起のメカニズム”において、ヤル気や気負いほど邪魔なモノはない。
 「人間は、神経が張った状態――いわば闘争本能に火がついている時、交感神経が優位になります。この時、身も心も硬く緊張しているので、非常に勃起もしにくいのです。よく、初顔合わせの相手とは勃起しない…という話を聞きますが、まさにそれ。緊張や不安が強いと、脳から“勃起せよ”という指令がスムーズに出ないのです」

 多くの男性が勘違いしていることで、女性を前にして、「イカせてやるぞ」「勃起してやるぞ」と意気込むほど、交感神経が優位に働き、勃起を妨げるのだ。
 「つまり、スムーズに勃起させるには副交感神経を優位(リラックス)にするように心掛けることなのですが、簡単なことではありません。アスリートが平常心で試合に挑むのが至難の業のように、女性を前にヤル気を静めるのは難しいもの。ただ、多くのアスリートがそうであるように、セックス前の緊張しないルーティンを自分なりに持つことが大事なのです」

 そこで今回は、いくつかの勃起を促すセックスルーティンを紹介しよう。
 「まず、リラックス状態とはどんな時か。多くの方は入浴中や好きな音楽を聞いている時、また食事の後なんてこともあるでしょう。自分なりに一番落ち着く瞬間を考えてください」

 例えば、入浴ならセックス前にゆっくり風呂に入ればいい。
 「ただし、この時にあれこれ考えないこと。あえて心を無にして、ボーッとするんです。何かしらの不安が脳裏をよぎれば“ま、なんとかなるだろう”と考えて打ち消すのです」

 また、気持ちを静める方法としてはこんな手も。
 「心理学では、寒色系の色を見ると、男性は性欲が鎮まる。そうした色のものを身近に置いて、いざセックスの前に見つめることも一つの手といえます」

 意外な方法では、耳かきもセックスルーティンに使いやすいという。
 「綿棒でも用意しておいて、女性がシャワーを浴びている間、のんびり耳かきをするんです(笑)。些細な心地よさを自分の身体に与えることで、気持ちがリラックスしていきます」

 このように、自分なりの方法を見つければよいのだが、最も簡単なのはコレ。
 「人間は面白いもので、1時間程度、話し込めばなんとなく相手に対して、プレッシャーを感じなくなります。それは女性も同じ。プレイボーイほど、ホテルに入ってもすぐにコトを始めず、最初はたわいない会話を女性と交わすと言います。その時間があるだけで、お互いリラックスできて、セックスでも深い快楽を得らえるのだと思います」

 女性とのコミュニケーションが苦手な方にはお勧めできないが、女性との会話が苦にならなければ、これが最強のセックスルーティンだろう。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。