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By Luke Wroblewski

リチウムイオンバッテリーは電気自動車からスマートフォンまで多くのデバイスに利用されていますが、しばしば爆発事故を起こすことでも知られています。2016年にはSamsungのGalaxy Note 7で爆発が相次ぎ、最終的には130万台規模のリコールにまで発展しました。2017年1月になって爆発の原因はバッテリーにあったことも判明していますが、スタンフォード大学の研究チームがバッテリーが発火してもすぐさま鎮火できるように「消火器内蔵のバッテリー」を考案しています。

Battery with inbuilt 'fire extinguisher' developed - BBC News

http://www.bbc.com/news/technology-38637357



バッテリーが発熱した際に温度を下げるために火消し材を放出するリチウムイオンバッテリーをスタンフォード大学の研究チームが開発しました。研究結果はサイエンス誌・Science Advances上で公開されており、Galaxy Note 7の爆発問題でも注目を集めたリチウムイオンバッテリーのより安全な運用にいかせるのではと考えられています。

スタンフォード大学の研究チームが考案したのは、難燃剤として使用されるリン酸トリフェニルをバッテリーの電解質溶液内に配置するという構造。このリン酸トリフェニルを150度で溶ける外壁で囲むことで、バッテリーの温度が危険レベルまで上昇した際に、外壁が溶けてバッテリー内にリン酸トリフェニルが放出されて鎮火作業を行うようになっています。実証試験では火が出たバッテリーをわずか0.4秒で消火できたそうです。なお、これまでは外壁なしでバッテリー内部にリン酸トリフェニルを組み込む案などがあったそうですが、これではバッテリーのパフォーマンスを大幅に下げてしまう模様。

もしもリチウムイオンバッテリーのバッテリーセルを急速に充電しすぎたり、製造段階で何かしらのミスなどが存在したりする場合、バッテリー内部がショートして火を吹いたり爆発したりする可能性があります。実際、2016年だけでもGalaxy Note 7だけでなく複数のリチウムイオンバッテリー搭載デバイスで爆発問題が報告されています。

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「多くのデバイスがバッテリーを動力としているにもかかわらず、バッテリー関連技術の進化は遅かった」と語るのは、アメリカのエネルギー情報調査企業であるIHSで上級アナリストとして活躍するイアン・フォッグ氏。さらに、「バッテリー容量を増加させることはとても難しいことであり、常に故障の危険が伴う」とフォッグ氏は語っており、バッテリー技術の進歩が難しいことを明かしています。