「パンクの女王」の異名を持つ、イギリスのファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウェストウッドが、2月20日にロンドンで気候変動をテーマにしたクラブイベントを開催することが発表された。場所はロンドンの大型クラブFabric、ドレスコードは「マッドマックス」だ。i-dによれば、イベントを主催するのは、ヴィヴィアン・ウェストウッドによる環境保護活動団体Climate Revolutionで、グリーン・エネルギーへの切り換えを呼びかけることが目的だ。ウェストウッドは1月のロンドン・ファッションウィークの中でも、グリーン・エネルギー事業者Ecotricityをフィーチャーした「エコ・パンク」なファッションラインを披露して話題を集めた。

2月のイベントでは、ヴィヴィアン・ウェストウッドやEcotricityの創業者デール・ヴィンスがトークを行い、A Guy Called GeraldがDJを務める。チケットはこちらから手配できる。




昨今、多くのファッションブランドが社会貢献の一環としてさまざまな環境保護活動や人権活動に参加・協力している。だがヴィヴィアン・ウェストウッドにとって、社会的な活動はファッションまたはビジネスのおまけではなく、つねにファッションと一体であった。

1970年代、マルコム・マクラーレンとともにブティックを開いた頃の思想を、ウェストウッドはこう振り返る。

私はパンクが救世主になるような、誰かが体制に歯止めをかけられるだろうかというような思いでいました。そしてアイデアのない破壊はないと気づきました。すべてを破壊したいと思うだけでは不十分なのです。

80年代には自らマーガレット・サッチャー首相(当時)に扮し、「この女性もかつてパンクだった」(this woman was once a punk)のキャプションとともに雑誌「TATLER」の表紙を飾った

ウェストウッドはこのような挑発的な活動にもかかわらず、1992年には大英帝国勲章OBEを受賞、2006年にはさらに上位のDBE勲章を受賞している。ブランドとしてのヴィヴィアン・ウェストウッドも世界的規模に成長していったが、2000年代以降は社会的な活動がさらに増加しているように見える。

たとえば2005年には「I AM NOT A TERRORIST, please don't arrest me(私はテロリストではありません、逮捕しないで)」と書かれたTシャツとベビー服をデザインした。これは、当時提案されていたふとテロリズム防止法による人権侵害への懸念を表明したものだった。

また2014年には、NGOグリーンピースによる北極の環境保護活動支援に注力するため自身のブランド拡大を抑制することを表明。さらに北極の自然に対する注意喚起を目的に、特徴的だった赤毛を短く切り、髪色も自然のままにした。

Vivienne spoke yesterday at the WOW 2014 conference at the Southbank Centre celebrating International Women's Day.

A photo posted by Vivienne Westwood (@viviennewestwoodofficial) on

表現の形態も多様だ。2014年にはPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)の動画に出演し、食肉生産によって多くの水資源が消費されていることを訴えた。

2016年には、イギリス人ラッパーのMic Righteousとのコラボレーションによりラップデビューも果たし、「知識人よ結集せよ」(Intellectuals Unite)と自作の詩で呼びかけている。

ファッションの作り手であることと環境保護活動は、ウェストウッドにとっては必ずしも矛盾しない。むしろ「買い物を減らし、よく選び、長持ちさせなさい。量ではなく、質。みんな服を買いすぎています」「6つも買うのではなく、本当に好きなものをひとつだけ買うべきです」と発言し、質の高いものや自分に合うものを選ぶことの重要性を訴えている。ただ同時に「みなさん世界に投資すべきです。ファッションに投資してはいけません、世界に投資しなさい」とも言い、優先順位はあくまで「世界」に置くべきだと主張する。

2013年の「marie claire」でも、このように語っている。

今は、こういう活動をサポートすることが本当に重要です。どんなものでもサポートすべきです。すべてはつながっていて、すべてはこんがらがっていて、すべてがめちゃくちゃです。そして私たちは世界を救わねばなりません。

折しも今、イギリスのEU離脱決定やアメリカのドナルド・トランプ大統領誕生で世界が不安定化している。トランプは気候変動の存在自体に否定的で、気候変動枠組条約からの脱退すら示唆されている。今年76歳を迎えるウェストウッドだが、彼女のパンクな活動がこれからも求められていくことだろう。