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 韓国報道によれば、韓国最大の財閥サムスングループの実質の総帥である、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長に特別検察は16日、賄賂供与及び国会における偽証の嫌疑で拘束延長を請求した。韓国財界は、国内経済が悪況のなかサムスングループ総帥の拘束は更なる不況を招くと反発している。

 しかし国外の投資家の視点はまったく違う。彼らは、韓国への投資が世界的な低評価を受けた所謂「コリアディスカウント」の主犯は、韓国特有の政経癒着の産物でもある「財閥」であると見ている。よって今回、特別検察側が李副会長や他の財閥のトップたちを追及する姿勢を見せていることが、数十年間解決出来なかった「財閥改革」の青信号が灯った好材料と判断している。

 韓国企業のほとんどは財閥が掌握している。世界の投資家たちは、財閥が牛耳る企業支配構造を危惧し、投資を敬遠してきた。その結果、韓国の株式に対する投資需要は、実質的な企業の実績に比べ低く見積もられ、株価は低評価を受け続けざるをえなかった。

 財閥経済がもたらした、悪影響の一つは、損失を生む事業にも投資を持続し全体の業績を引き下げていることであったし、もう一つは、財閥は経営権の安定に主眼を置き、株主への配当に消極的な傾向にあったことである。

◆サムスン株が一年前と比べて60%も上昇

 しかしイギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」によれば「一部の投資家たちは韓国経済が回復すると楽観視し積極投資へと切り替えている」と報じた。数百万の国民デモにより政治的動力が作用し、韓国が本格的な財閥改革へ乗り出すであろうというのが楽観論の根拠である。

 同紙はまた、「投資の世界では、韓国の国政混乱の事態が、企業支配構図の価値ある改善へと繋がり、この変化による国際的な投資が、韓国経済回復の基盤となりえるだろうと期待する」と続けた。

 サムスン電子の李副会長の拘束延長、その先にある「逮捕」を見据え、いま一番注目すべきであり興味深いことは、サムスンの支配構造文化が転換期を迎えているということである。

 驚くべきことは、サムスン電子の株価が、約1年前の価格と比べ60%も上昇していることである。アメリカの専門誌によれば、「サムスン電子の株価はこれからもっと上がる余地があるのか見極めなくてはいけないが、より大事なことは、韓国経済全般にどのような影響を与えていくのかということである」と伝えた。

◆財閥支配構造に地殻変動が起きる可能性

 サムスンの変化が、SK、LG、現代などの他の財閥グループにも影響を与えるのは必至だ。その結果、韓国の財閥支配構造の地殻変動に対する期待してもいい状況になった。

「フィナンシャル・タイムズ」は、2015年のサムスン物産合併が、李副会長の経営権強化のためのものであって、サムスン電子の株価を下げた事例をあげ、今回の「崔順実ゲート」事件による韓国政局の混乱において、「財閥は被害者ではなく問題の根源」という結論が出れば、財閥改革に対する政治の圧力は一層強化される。

 朴槿恵大統領の父である朴正熙大統領(大統領在任1963年〜1979年)が成し遂げた「漢江の奇跡」。その礎となった「財閥経済」を、娘が崩壊に向かわせる。何とも皮肉な話である。

<文・安達 夕>