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by jpmatth

世界最大の家電見本市CES 2017について「スタートアップシーンのほぼすべてはフランスに持っていかれた」とCerevoの創業者である岩佐琢磨氏は語っています。フランスは外国の才能を自国に誘致することに力を入れており、2016年にはスタートアップ企業の創業者や従業員、およびその家族を数々の面でサポートするビザ「FRENCH TECH VISA(フレンチテック・ビザ)」をスタートさせました。フランス躍進の影には、これらの影響もあると見られています。

French Tech Visa

http://visa.lafrenchtech.com/



フレンチテック・ビザはフランス政府が採用する才能パスポート制度の1つ。才能パスポート制度は投資家や研究者、芸術家、熟練賃金労働者とその家族を対象にした滞在許可証で、これまで存在した6種類の滞在許可証を統合したもの。2016年に公布された「フランスにおける外国人の権利に関する法律」で新たに定められた制度で、滞在期間の上限は4年間となっています。

フレンチテック・ビザの目的は以下の3つ。

・フランス国外のスタートアップやスケールアップの創業者と従業員を誘致すること

・フランス国外の才能をフランスのスタートアップやスケールアップに参加させること

・フランス国外の投資家、エンジェル投資家をフランスに誘致すること

フレンチテック・ビザは才能パスポート制度の一部なので、基本的な制度の仕組みは才能パスポート制度をベースにしています。そのため、有効期限は4年間で、対象には本人だけではなくその家族も含まれます。本人および家族は労働者として規制されることがなく、状況によっては優先手続きが行われることもあるとのこと。

スタートアップ創業者がフレンチテック・ビザを取得するには以下の3つの方法があります。

1:「フレンチテック・チケット」というプログラムに申し込む

フレンチテック・チケットは、一般のスタートアップがフレンチテック・ビザを取得するための方法。ただし常に応募ができるわけではなく、2016年は6月21日から9月23日まで応募が受け付けられていました。

フレンチテック・チケット第2期応募受け付けスタート、フランスで起業しよう! - La France au Japon

http://www.ambafrance-jp.org/article10233



在日フランス大使館のウェブサイトによると、提供されるパッケージに含まれる内容は以下の通り。

・投資用途を除き、何よりもまず経費をカバーする目的で、プロジェクト1件につき4万5,000ユーロを支給

・41の提携インキュベーターのうちの1つで12カ月間のインキュベーション、6カ月目の中間評価付き

・選定された応募者(入賞者)と家族の滞在許可証の交付手続きを加速、簡素化

・専用の支援・活性化プログラム

     修士課程、エコシステムとの月例ネットワーキングイベント

     受け入れ・支援機関による個別ビジネス・フォローアップ

     後見人(受け入れエコシステムを代表する起業家)によるフォローアップ

     投資家や重要取引先との年2回のデモデー

・「ヘルプ・デスク」が行政上の手続き(滞在許可証、資金調達、租税、保険、社会保障)について、入賞者を補助

・新生活スタートのための実際的な補助(住居や居住地域のスペシャルオファー付き新生活便利ガイドを見つけるなど)


また、応募資格は以下の通りです。

・英語を話す2〜3人の共同創業者からなる国際チーム(プログラムはすべて英語)

・1チームにつき最大1名のフランス国籍者を含むことが可能

・チームはスタートアップ企業の創業期または成長期に携わらなければなりません

・すでにフランスで設立されたスタートアップ企業は応募対象外


なお、第1期のプログラムでは世界100カ国以上から寄せられた722件の応募から23件のスタートアップ候補が選定されたとのこと。

2:スタートアップ向けのコンペに応募する

フレンチテックは国外スタートアップとフランスのアクセラレーターを結びつけるためのコンペティションの開催を計画しており、パートナーシップを結んだ2者はフレンチテック・ビザのサポートを受けられるようになります。

3:創業者としてフレンチテック・ビザに申し込む

自分の在住している場所のフランス領事館に連絡を取り、手続きに従い才能パスポート制度の申請をします。

また、創業者でなく企業の従業員であっても、「指定されたフランスのスタートアップで職を見つける」「フランス領事館に連絡をとり『特別な才能があること』をもとにフレンチテック・ビザ取得の申請を行う」という方法でフレンチテック・ビザが取得可能です。



by rhodesj

なお、CES2017でフランスのスタートアップがいかに際だっていたのかは、岩佐氏のブログで以下のように語られています。

大手メディアか書かない、CES2017の実態(出展者目線) - キャズムを超えろ!

http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20170116/p1

他に注目すべきポイントであり、日本のメディアで多く語られていないポイントはフランス系スタートアップの驚くほどの躍進だ。数年前からLa French TechやHardware clubといったフランス系のハードウェアスタートアップを支援する団体が大変意欲的に活動していて注目していたが、今回のCESではその活動が実り、ハードウェアスタートアップといえばフランスをWatchしないでどうする、というほどのイメージを来場者に与えていた。中国や韓国もEureksParkで積極的なナショナルパビリオン展示をしていたものの、全てにおいてフランスの強さが際立っていた。

何がどう際立っていたかと言うと、まずどれもこれもデザインがヨーロッパテイストでかっこいい、あるいはおしゃれ。これは中韓がマネできないところ。そして、商品の目のつけどころがどの会社もユニーク。中国パビリオンにありがちな「なんかどれもどっかで見たようなもの」になってはいない。これはデザイン性の部分も多いにあると思う。ただのアクティビティトラッカーであっても、アプリのUIから本体のデザインまで一貫したデザイン性があれば、おっ?となる。そしてなによりも、La French TechやHardware clubの連中がしっかりと目利きをしていて、ユニークかつハイデザインな商品にだけ彼らのチームに引き入れているように見えた(実際どうかは知らんw)。

純フランスかといわれるとそうでもないのだが、深センでハードウェアスタートアップ向けの投資育成事業をやっているHAXもCES直前に大きな3rdファンドの組成を発表している。シードラウンド中心にしか投資しないインキュベーターのファンドなのに、150ミリオン(約170億円)のファンドだ。彼らHAXも創業メンバーの多くはフランス人ということで、2017年のハードウェアスタートアップは相当フランス系の方々が舵を取っていくのかなという印象。もちろんHAXは投資先の大半が米国ではあるのだが.....。

悲しいかな、日本のニューカマーがどかんとプレゼンスを出していたなぁという印象はナシ。Sevendreamers、WHILL、Primesapぐらいがやや善戦、あとは手前味噌だがCerevo。勿論ソニーやパナソニックなど大手メーカーは例年のようにプレゼンスを出してはいたが、フランスや中国のようにニューカマーが続々登場してでかいブースを構えて人を集めるというようにはなっていなかった。

トヨタやホンダ、日産は相当力をいれてCESのためにコンセプトカーを仕上げてきたが、欧米・韓国の自動車メーカーはほとんどコンセプトカーを出さなかったのが印象的。トヨタのコンセプトは何だろう、こう、広告会社の匂いしかしないというか。トヨタが出したというより広告会社がトヨタの予算を使って出したような印象。直近のコミットメントが見えないコンセプトカーは、日本自動車メーカーの日本人らしい消極的な解にみえて、やや悲しい思いになった。技術をもっているがリスクは取りたくないという日本メーカーらしいアプローチには『ぐだぐだ言ってへんではよ売れや!』と言いたくもなる。コンセプトカーのような派手さはないものの、市販車すべてを順次Alexaに対応させますよと言ったフォードのほうがよほど先進的で、意欲的だなと感じる。リスクを取らない人たちはいずれリスクテイカーにやられて死ぬはず、なーむー。