最近、ゴルフの取材現場で韓国人選手の話題になると、必ず聞かれることがある。

「アン・シネとユン・チェヨンって、どんな選手? 特にアン・シネって、韓国ですごく人気があるんでしょ?」

 日本デビューを前にして、これほど注目されている韓国人女子プロゴルファーも珍しい。アン・シネ(26歳/韓国)とユン・チェヨン(29歳/韓国)――。2年連続賞金女王に輝いたイ・ボミ(28歳/韓国)、昨季ツアー2勝を飾って人気上昇中のキム・ハヌル(28歳/韓国)に続いて、日本女子ツアーに本格参戦を果たす、強さと美しさを備えた新たな韓国からの"刺客"だ。

 昨年末に行なわれた日本女子ツアーのファイナルQT(※)で、アン・シネが45位、ユン・チェヨンが5位となって、今季からの日本ツアーに挑むふたり。成績上位のユン・チェヨンはほぼフル参戦となるが、アン・シネは20試合前後の出場が見込まれている。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 彼女たちについては、すでに日本でも多くのメディアが取り上げ、ツアー開幕前からその知名度はかなり高い。イ・ボミやキム・ハヌルが来日した当初は、ここまで騒がれることはなかった。そういう意味では日本ゴルフ界、つまり日本のメディアやファンが、今やそれだけ韓国女子ゴルファーに注目している証拠だろう。

 もちろん、その引き金となったのは、強さと美貌を兼ね備えたイ・ボミ、キム・ハヌルの活躍にある。しかも彼女らは、常に笑顔を振りまき、礼儀正しく、ファンサービスにも積極的である。それが、日本のファンに快く受け入れられ、韓国女子ゴルファーへの期待をさらに膨らませた。

 さて、男性ファンが最も気になる容姿だが、アン・シネ、ユン・チェヨンともに韓国では「美人ゴルファー」としての地位を確立。日本でもその外見に魅了されるファンは多いはずだ。

 とくに注目は、アン・シネ。「韓国ゴルフ界のセクシークイーン」と称されるとおり、身長165cm、体重53kgというモデル体形で抜群のプロポーションを誇る。それでいて、セクシーなゴルフウエアを華麗に着こなしてプレーするのだから、男性ファンの視線を集めるのは当然のこと。インスタグラムでは、自身の水着ショットまでアップして、スラリとした美脚と豊満なバストを惜しげもなく披露している。

 そのせいか、プレーで不振が続いて成績が芳しくないときでも、常に注目を集めてきた。昨年は、男性誌『MAXIM』韓国版の表紙を飾るなど、その人気はタレント並みだ。

 ルックスは申し分ないアン・シネだが、ゴルフの実力はどうか。

 小学3年生のときに、家族でニュージーランドへ移住。そこでゴルフを始めると、中学1年生のときにはニュージーランド代表に選出された。そして2008年に帰国後、高校生ながら韓国の下部ツアーでデビュー。翌年にはレギュラーツアーに昇格し、2010年には年間2勝を挙げて賞金ランク3位となり、一気にブレイクした。

 その後、やや低迷したが、アン・シネがそのまま終わることはなかった。2015年には韓国4大メジャーのひとつ、韓国女子プロゴルフ選手権を制覇。プレーオフの末にビッグタイトルを手にして、トップレベルの力が健在であることを改めて証明した。当時は、派手な私生活や外見ばかりが取り沙汰され、ゴルフの実力については疑問視され始めていたが、そうした悪評をも一蹴した。

 そのアン・シネに話を聞いたのは昨年6月、韓国女子ツアーのBMW女子選手権のときだった。そのときのことは、今でも強烈な印象として記憶に残っている。

 というのも、ラウンド後、ある記者から冗談まじりにこんな質問が出た。

「アン・シネさんには、どうしても練習嫌いというイメージがあるのですが、実際にはどうなのでしょうか?」

 それに対する、アン・シネの切り返し、さらにその振る舞いが秀逸だったのだ。

「私がそうした目で見られているのはわかりますが、"練習嫌い"なんてとんでもないです。練習せず、努力せずして、どうしてレギュラーツアーで生き残れるのでしょうか。そうしたイメージで見るのは、もうやめてくれますか(笑)」

 やや失礼な質問にもかかわらず、アン・シネは嫌な顔を見せるどころか、逆に微笑みを浮かべながら、マイクをしっかり握って、記者の目を見据えて、スパッと明快な回答を繰り出した。その芯の強さ、トッププロとしての魅力をまざまざと見せつけられた。質問した記者は、ただ苦笑いするしかなかった。

 新年を迎えて、韓国メディア『イーデイリー』のインタビューでは、アン・シネはこんなことを語っている。

「(昨年のQTで)日本ツアーにフル参戦するだけのシード権が得られませんでした。それについては、少し恥ずかしかったです。だって、サードQTで1位通過を果たして、私に注目してくれた日本のメディアやファンが多かったからです。でも、外国人選手なのに(日本では)私のことをとても歓迎してくれていることを感じとることができました」

"美女ゴルファー"として話題となっている点については、こう話している。

「『美女ゴルファー』の愛称で呼ばれたいと思ったことはありませんが、私が努力することによって、多くの方々が(私の存在を)認めてくれる"修飾語"のように使われるのはうれしいし、とても気分がいいです」

 美意識の高いアン・シネ。日本でも美女ゴルファーとして注目されることに何ら違和感はなく、むしろ大歓迎。日本のツアーの水に慣れることができれば、間違いなくブレイクするだろう。

(つづく)

text by Kim Myung-Wook