イクメンは懲罰対象? 英企業が抱える「断絶」のリスク

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英国では、企業が男性従業員らに「父親であることへの罰」を科すようになっている。多くの父親たちが仕事と家庭生活のバランスを取ろうとキャリアを後回しにする傾向が見られる中で、企業が取るそうした態度の危険性が指摘されている。

ワークライフバランス推進のための活動を行う慈善団体ワーキング・ファミリーズとブライト・ホライズンズが1月15日に発表した報告書、2017年「Modern Families Index(モダン・ファミリーズ・インデックス)」によれば、2016年中に英国各地の子を持つ2,750人を対象に実施した調査の結果、多くの父親たちにとって「家族は最優先事項」であることが分かった。

一方で報告書は、子育てに積極的に関与したい数多くの父親たちが置かれている苦境と、父親たちの希望を聞き入れ支援することができない職場の現状を明らかにしている。

調査に参加した父親の25%は、保育園や小学校まで子供を「毎朝送っている」。また、26%が「週の半分以上、迎えに行っている」。さらに、10人中7人が子供の世話をするために、柔軟な働き方を勤め先に認めてもらっている。

子育ての悩みは母親と同じ

だが、こうした父親たちは、割り当てられた仕事をこなすためには避けられないこととして、あるいは勤務先が長時間労働を重要視しているために、残業をしなくてはならない状況にある。その上、「柔軟な働き方を認めてもらうことは仕事への責任感の低さだと評価されており、そうした働き方は自分のキャリアに悪影響を及ぼしている」と考える父親の数は、同様に考える母親の2倍に上る。

多くの父親たちが、自分の勤め先は「ワークライフバランスを重視したい自分の考えを支持してくれない」と考えている。また、20%近くが雇用主は良く言っても「子育てに対する思いやりに欠け、仕事の中断を望まない」と答えた。

男性たちの中には、雇用主からの否定的な評価を避けるため、子育てに関して問題があっても勤務先には伝えないという人もいる。父親たちの44%は、「家族の問題が仕事に影響を与える場合に、雇用主に(子供のことで)真実をねじ曲げて伝えたり、うそをついたりしたことがある」という。

さらに、10人に7人は転職する場合にも昇進を受け入れるか決断する際にも、子育てに関わる問題を優先して考えると回答している。報告書によれば、「キャリアアップに対する障害として母親たちが何十年も前から直面してきたのと同じ問題に、父親たちも直面するようになっている」のだ。

問題は英社会にとっての「悲劇」

英国では、生産性向上のための新たな労働環境が必要だとして活発な議論がなされている。そうした中で、働く親たちが置かれた状況が「後退している」という点は、まさに悲劇的としか言いようがない。

英国政府は最重要政策として、父親が母親に代わって取得できる休暇期間を大幅に拡大した「共有育児休暇制度」を導入したが、取得率は2〜8%にとどまっており、効果はほとんどないと考えられている。

企業と働く父親たちのこうした状況について、何が間違っているのだろうか?理由はただ単に、一般の従業員や関係者たちの間で起きている変化を認識できなくなっている役員たちが、文化の異なるパラレルワールドを作っているということだろうか?

問題は単に、企業が男性の子育てへの参加を認めるかどうかではない。若い従業員たちが持つ個人的な価値観と選択を認めるかどうかということだ。企業を全てのレベルにおいて適切な関連性を維持したものにするため、今こそ若い従業員たちの声に耳を傾けるべきだ。

さまざまな場面でのビジネスの「多様性」が取り上げられる一方で、英国企業の役員の平均年齢は59歳を超えている。10年前と比べ、高齢化が進んでいる。