米有力VC「DCM」が日本への投資を強化する理由

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「”ホームラン級の成功”を狙う起業家に投資をする─。それが我々の投資基準。そして成功の定義は『一発で100億円以上のリターン、もしくは10倍以上のリターン比率』です」

シリコンバレーに拠点を置き、世界的有力ベンチャーキャピタル(VC)として知られるDCMのゼネラルパートナー兼日本代表の本多央輔はそう話す。米Forbesの「Midas List」に10年連続で名を連ねるデビッド・チャオらが1996年に創業した同社は、運用総額30億ドルを超え、シリコンバレーの他にも、北京、東京にオフィスを構える。

本多が投資をした中日台で人気モバイルゲームを提供するHappy Elementsはそんな成功事例のひとつだ。2016年に同社がMBO(経営陣が参加する買収)し、27倍のリターン比率、100億円以上のキャピタルゲインをもたらした。韓国の人気メッセンジャーアプリ「カカオトーク」を手掛けるKakao(現Daum Kakao)も14年にIPO(新規株式公開)し、約40〜50倍のリターン比率だったという。

「ホームラン狙いで打席に立ち大振りするからこそ、ホームランが打てる。ヒットの延長線上にホームランがあるとは考えない。だからこそ、起業家にはホームラン級の成功を狙うスケールの大きさを求めるし、投資家としてもホームランを狙うマインドセットを持つことを心がけている」(本多)

その投資家の姿勢の象徴が、デビッド・チャオがリードして行った、100億ドル規模でのIPOが期待されるフィンテックスタートアップSoFiのシリーズEでの10億ドル調達(15年10月)だという。

そんなDCMが16年7月、総額5億ドル規模のファンド「DCM 8号」を組成。そのうち100億円超を日本のスタートアップ向けに投資をしていく。DCMはこれまで、クラウド会計ソフトの「freee」やクラウド名刺管理の「Sansan」に各々20億円以上を投資してきたが、さらに強化する戦略だ。

「過去最大規模になったのは、イグジット機会の広がりに伴い、日本のスタートアップ育成の土壌が発達し、投資機会が多様かつ成熟してきたからだ。1. 自らのプロダクトに精通している、2. 良い意味での強い思い込みがある、3. 仮説やデータを回しながら意思決定できる、4. 目線を高く持ち続けられているーーというホームランを打てる起業家の条件を満たすような、スケールの大きな起業家も増えてきた。100億円が上限ではなく、メガベンチャーになる可能性のある起業家が数多く出てくれば、さらに投資金額を拡大していく」

DCMの日本での投資先は、freee、Sansanの他に、クービック、ビザスク、フォリオなどがある。今後の投資対象としてはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、Fintech、農業分野に注目し、シード・ステージ、アーリー・ステージのスタートアップに投資をしていく。