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クルマを住みたい空間に仕立てるには、自分好みの部屋のようにスタイリングするのが一番。テレビや雑誌など多くのメディアで活躍するインテリアスタイリストで、無類のクルマ好きでもある窪川勝哉氏に、クルマを“住みたくなる空間”に仕上げてもらった。クルマをMy Roomにするためのルールとは?

 

プロの手によって住みたいと思える空間に



クルマに住むのであれば、当然ながら車内を自分の部屋のようにスタイリングしたいところ。ただ、素人が車内をスタイリングするのは予想以上に難しい。特に、クルマっぽい雰囲気ではなく、部屋のようにリラックスできる空間に演出するとなるとなおさらだ。そこで今回はプロのインテリアスタイリストに演出をお願いすることにした。

とはいえ、ことはクルマの中。クルマのことも詳しい人でなければならない。そこでお願いしたのが、窪川勝哉氏。知る人ぞ知るクルマ好きで、自身でも多くの車種を乗り継ぎ、車内のスタイリングも手掛けてきた人だ。

使用する車種は部屋のように広いスペースを持つことからルノーの『カングー』に決定。窪川氏によって細かく各部が採寸され、必要なドレスアップが施されていく。そして完成したのが写真の状態。まさしく「マイルーム」と呼ぶのにふさわしい仕上がりで、とてもクルマの中とは思えないお洒落でリラックスできる空間になっている。これなら住みたいと思う人も多いはず!

 

Point 1

 

クルマ専用品は極力使わない

 

クルマを住める空間にしようとするとき、多くの人がカー用品店を訪れることだろう。だが、窪川氏いわく、それが第1のNGポイント。カー用品店で売られているクルマ専用品は確かに便利かもしれないが、オシャレとは言い難い。そこで買ったものを自分の部屋に置きたいか? と考えてみればわかるだろう。今回のMy Room化にはクルマ専用品はほとんど使用していない。セレクトの際は、“自分の部屋に置きたくなるもの”を基準にするといいだろう。



チェアはDULTONの「WOODEN BEACH CHAIR」(価格:1万2960円)。リラックスできる座り心地で、折りたたんで持ち運びも可能だ。



テーブルはイケアのベッドトレイ「DJURA」(価格:1499円)を使用。高さが絶妙なだけでなく、物が落ちにくい構造なのも車内向きだ。



テーブルもチェアも折り畳めるので、積んでおいてもドライブの邪魔にならない。クルマ向けでなくても使えるものは色々あるのだ。

手軽に部屋をクルマの外まで拡張できる



せっかく移動もできるクルマなのだから、車内だけに留まるのはもったいない。今回使用したアイテムの多くは、そのまま車外に持ち出しても使えるので、My Roomをクルマの外にも拡張できる。

 



シート背面に備え付けのテーブルを活用しつつ、コップを挿してペン立てとして活用。マガジンラックを置くとグッと部屋感が高まる。



最近は部屋だけでなくアウトドアなどでも活用されるガーランドやランプを車内に吊るす。クッションも部屋感を演出する大事なアイテム。

 

Point 2

 

ひと手間加えることでMy Room感UP!

 

2つめのポイントは、既製品を使うにしても何かひと手間加えること。例えば今回使用したガーランドなどを掛けるバーは、車内用の汎用品だがコルク柄のデカールを貼ることで既製品には見えないように仕立てている。カーテンもイケアで購入したものだが、窓のサイズに合わせてカットし直すことで、専用に仕立てたような仕上がりとなった。特にクルマの場合、寸法が合っていないとみっともなくなってしまうので、その点は手間を惜しんではならない。



イケアで購入したカーテンをサイドウィンドウに合わせてカットし、縫製しなおすことで専用品のように仕上げている。



本来は金属製のバーだが、デカールを貼り付けることでコルク柄に。部屋の雰囲気ともマッチしており、既製品には見えない。

 

Point 3

 

光と音で自分の部屋のように演出

 

“灯り”は部屋を演出するには大事な要素。それは車内であっても変わりはない。いや、むしろ車内の灯りといえば備え付けのルームランプしかないのが当たり前になっているクルマの中こそ、灯りによる演出が有効なのだ。目指したのはリラックスできる柔らかな光。今回は3つのランプを用意したが、どれか1つでも十分に車内の雰囲気を変える効果はある。そして、1つはスピーカーも兼ねているのでカーステレオを切ってもお気に入りの音楽を楽しめる。



360°広がる優しい光と音を融合させたPabloの「UMAサウンド ランタン」(価格:6万9660円)。もちろん、車外でも使える。



バーに吊り下げたのはFLOSの「MAYDAY」(価格:1万9440円)。普段はガレージにも吊るしておける。



360°広がる優しい光と音を融合させたPabloの「UMAサウンド ランタン」(価格:6万9660円)。もちろん、車外でも使える。

 

Point 4

 

すぐに元通りに戻せるようにしておく

 

移動の道具でもあるクルマだからこそ、My Room的な演出をしたとしても、すぐ元に戻して走り出せるようにしておくことが大切。だから今回は車体への加工は一切行わず、撤収となったら素早く元通りに戻せる範囲に留めておいた。ラグは敷くだけ、バーは引っ掛けるだけ。カーテンレールは両面テープで貼り付けただけなので、すぐに外せるし、雰囲気を変えようと思ったら色味の違うものに換えたりと、簡単にアレンジできるのもポイントだ。



ラグはイケアの「KATTRUP」(1万7990円)を敷いただけなので、違う柄に換えることも手軽にできる。今回はテーブルやチェアに合わせてナチュラルなカラーでまとめたが、思い切りポップな色合いで攻めることも可能だ。



今回のポイントともなった曲がるカーテンレールは出窓などに使用するもので、曲面の多いクルマには最適。

プロのスタイリストも苦労する

クルマをスタイリングすることの難しさ

これまで数多くの部屋や物のスタイリングを手掛けた窪川氏だが、その経験を持ってしても「クルマの中は難しい」という。車内はハンドルなどの操作に必要なものから、シートやグリップ、それにシートベルトなどの安全装備まで、ほぼ隙間なく装備が詰まっているのでアレンジの自由度が低いのだという。

「窓の形やサイズなども車種ごとに異なり、装備の配置などもすごく計算し尽くされている。だから下手に触るとバランスを崩してしまって、むしろ何もしないほうが良かったという結果になりがちなんです」

自身もクルマ好きで、そのクルマごとの個性やバランス、設計者の配慮なども見抜ける氏らしい言葉だ。

「だから窓のサイズやシートやフロアの形状など、きちんと採寸して合わせることが必要。ちょっとズレてたりすると、それだけで台無しになってしまいます」


ランプや植木などを吊るしたバーは、今回使用した唯一のクルマ専用品。サイズ調整が可能で、幅広いクルマに使用可能だ。

その点、今回使った『カングー』はフロアや窓が割とスクエアな形状なので、スタイリングはしやすかったとのこと。

「あとは専用品を使わず、自分で手間をかけていかに合わせていけるかですね。純正品のようにオーダーメイドとはいかないまでもイージーオーダーくらいには仕上げたい。今回は曲がるカーテンレールを使ったのがポイントですね」

 

この雰囲気、一部だけでも自分のクルマに採り入れたいと感じる人は多いはずだ。


ラグやクッションなどのファブリックは、簡単に車内の雰囲気を変えられる便利なアイテム。何パターンか用意しておくのもアリだ。

インテリアスタイリスト/窪川勝哉さん

雑誌や広告などでのスタイリングのほか、テレビ出演もこなす売れっ子スタイリスト。自身も大のクルマ好きで現在も大小4台のクルマを所有する。インテリアだけでなくクラフトや家電にも造詣が深い。

 

スタイリング/窪川勝哉 文/増谷茂樹 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2017年2月号より抜粋