米アマゾン・ドットコムが米国で、ドローン(小型無人機)配送に関連した実験を行うようだと、複数の米メディアが報じている。

 これは同社が1月11日に米連邦通信委員会(FCC)に提出した申請書(PDF書類)で明らかになったもの。アマゾンは無線技術に関する実験を行うために、電波使用の許可を求めている。

元NASA宇宙飛行士が担当者

 ただ、申請書には「革新的な通信性能と機能を裏付けるために設計された試作機をテストする」と記載されているものの、実験の具体的な内容は記されておらず、同社の目的については分かっていない。

 しかし書類の担当者欄には、ドローン配送プロジェクト「Amazon Prime Air」のシニアマネジャーを務める、元米航空宇宙局(NASA)宇宙飛行士、ニール・ウッドワード氏の名前がある。

 リンクトインのプロフィールによると同氏は現在、Prime Airの飛行実験や安全・リスク管理、認可手続きに関する業務を担当している。

 このことから、今回の電波利用の目的は、ドローンに関する実験が目的ではないかと米ビジネスインサイダーなどは伝えている。

 実験はまず、ワシントン州シアトルにあるアマゾンの本社やその付近の屋内で行い、その後シアトルから約350キロメートル離れた同州の都市、ケニウィックで屋外の実験を行う。

 これには仮のベーストステーションと関連のモバイル機器を使う。電波が届く範囲は決められたエリアの半径5キロメートル以内という。

顧客へのドローン配送、英国で開始

 ウッドワード氏は、2008年にNASAからアマゾンに移籍した。同氏は当初、アマゾンのインフラ事業やセキュリティ関連の役職に就いていた。このことから、今回FCCに申請した実験は、アマゾンのモバイル機器などに関連する可能性もある。

 しかし同社は昨年12月に、英国で一部の顧客を対象にしたドローン配送の実験を始めており、今回の実験もドローンに関連する可能性が高いと米メディアは伝えている。

 アマゾンがPrime Airの構想を明らかにしたのは今から約3年前。その後同社は米国でシステムの開発を行い、屋外テストの許可を米連邦航空局(FAA)に申請したり、飛行区分に関する提言を行ったりしてきた。

 しかし、昨年6月にFAAが発表した商用小型ドローンの運用規則では、飛行が許されるのは操縦者の視界の範囲内に限られ、1人が同時に複数のドローンを操縦することを禁じている。

 また飛行時間帯や高度、速度などに規制があり、さらに地上にいる、ドローン飛行に直接関係のない人の上を飛ぶことを禁止している。

 こうした規制の下ではアマゾンが描くドローン配送システムは実現しない。そこで同社は昨年7月から英国政府と提携し、同国でドローンの飛行実験を行っている。

(参考・関連記事)「アマゾンのドローン実験、ついに顧客に商品配達開始」

“飛行船の倉庫”から地上に配達

 なおアマゾンのドローン配送については12月末に、上空を飛ぶ飛行船を倉庫として利用し、ドローンで地上に商品を配達するという構想に関する特許を同社が取得したと報じられ、話題になった。

 今回の話題について伝えている米スラッシュギアの記事は、アマゾンの米国おける無線技術の実験は、この構想の実現に向けたものという可能性もあると伝えている。 

筆者:小久保 重信