「Thinkstock」より

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 私はファイナンシャルプランナーとして年間約300件の有料相談を依頼されている。もっとも多い相談内容は、住宅の購入と保険の見直しだ。保険の見直しをする人の中には、雑誌の保険特集を持参し「ランキング上位の保険がやはりよいのでしょうか」と尋ねる方もいる。情報サイトに掲載されている保険のランキングをもとに、加入する保険の候補を自分で選んでくる人もいる。私自身も多くの取材を受け、このような保険のランキングにかかわっているのだが、ランキングはどの程度あてにしてよいものだろうか。

●保険料は年齢・性別によって異なるという点を考慮する必要がある

 保険商品は年齢・性別によって保険料がかなり異なることは、ほとんどの人が知っていると思うが、さらに知っておきたいのは、ある年齢・性別で他社と比べて保険料が割安な商品があったとしても、他の年齢・性別で保険料が割安とは限らないことである。

 たとえば、A社の収入保障保険(死亡保障の保険の一種)は女性の保険料は割安だが男性の保険料はそうでもない、あるいはB社の自動車保険は40〜50代の保険料は割安だが20〜30代はそうでもないといったことも多いのだ。

 雑誌やネットの保険ランキングの商品選定に関しては、前提として年齢・性別が設定されることもあるが、前提が設定されない、あるいは選定にかかわるファイナンシャルプランナーや保険代理店の経営者自身が加入する前提というケースが多い印象である。つまり、選定にかかわる人が主に考慮する年齢・性別にバラつきがあるため、出来上がったランキングは大筋の傾向を反映してはいるが、個々の年齢・性別でコストパフォーマンスを考えるとかなり異なる順位になることがあると考えるべきである。

●ランキング対象のカテゴリーにあてはまらない保険商品もある

 保険ランキングでは主な商品のカテゴリーが設定される。たとえば、終身保険、医療保険、がん保険といった分類である。しかし、こうしたカテゴリーからは外れてしまうが、保障内容の観点から考えて、ランキングで選ばれた保険の代わりに私が勧めている保険もあったりする。

 たとえば、がんの保障を確保したいケースでは、がん保険ではなく、特定疾病保障保険(がん・急性心筋梗塞・脳卒中を保障対象とする保険)や医療保険につけることができるがんの一時金特約などを顧客に勧めることも多い。がん保険は終身保障がほとんどで、働いている期間だけ保障を確保したいときに一定期間だけ保障する定期タイプの選択肢に乏しい。そのため、定期タイプの割安な特定疾病保障保険も私は検討に加えている。また、医療保険のがんを保障する特約には、多くのがん保険よりむしろ優れた保障内容を持つものもあり、手厚い保障を求めなければそれで充分というケースもある。

●全員にとってベストな保険商品はない

 ランキングの商品選定では、保険商品の主契約の保障内容や保険料のほかに、選択してつけることができる特約や無料で提供される付帯サービスも考慮されるのが普通だが、家族の状況や働き方などで一人ひとり、特約や付帯サービスの必要性は異なる。特約が必要ない人にとっては当然、よい保険の順位が変わる可能性がある。

 雑誌やネットの保険ランキングは、加入する保険の候補を挙げるためには、非常に役に立つ。私もそう思い、ランキング選定に協力している。たとえば、予備知識がないために自分で判断できず、言われた通りに加入してしまうという事態を避けるために、保険ショップに行く前や保険会社の営業マンに会う前に、ランキングを見ておくのは有効だろう。

 しかしながら、年齢や性別、家族の状況や働き方などが異なる人にとっては、ベストな保険も異なるのが普通。ランキングをそのまま自分にあてはめて考えるのは、無理があるのだ。あなたにとってどの商品が合っているかを知るには、ファイナンシャルプランナーに有料で相談する、あるいは複数の保険ショップに行って提案される商品を比較するなど、ひと手間かける必要がある。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)