いまにして思えば「香里奈」って、いったい何者だったのでしょうか。

香里奈さん(32)のことを思い出すと、私はいつも「ハテ?」と言葉に詰まってしまいます。モデル、女優、サバサバした美人、若い子の憧れ、美人3姉妹……。どれも当てはまるとは思いますが、いまの彼女を一番に形容する言葉がもう「ハワイのベッドでM字開脚」報道しか思い浮かばないのです。ごめんね。

それくらい、3年前のスクープは印象的でした。ただハッキリ言って、あれは酔っ払ってやらかした失敗です。一時的にイメージダウンしたとはいえ、それが3年も長引くことになったのにはご本人も「なんで?」と疑問が残っていると思います。

そもそもスクープというものは犯罪に絡んだ「1発アウト型」と、対処次第でカバーできる「イメージダウン型」、そしてスルーしても済まされる「だんまり型」に分けられます。香里奈さんの場合は「イメージダウン型」でしたが、なぜこうも後を引いたのでしょう。

それはイメージダウンもさることながら、何よりあの報道で「香里奈」を作っていたものが“実はすごく薄っぺらくて、いろんな要素の集まりでしかなかった”と判断されてしまったからではないでしょうか。

薄っぺらい要素とは、モデル、女優、サバサバ美人、憧れといった、キラキラしたものすべてです。そのすべてを兼ね備えているように見えていて、実はどれも芯がなかった……。つまり“キラリと光る一芸”も“コアなファン”もいなかったと判断されたからこそ、今も完全復帰に時間がかかっているのです。

いっぽう“スクープから復帰に時間がかかった女優”としては、彼女のほかにも沢尻エリカさん(30)が思い出されるでしょう。彼女の場合も、「別に」発言から復帰までかなり時間がかかってしまいました。

ただその間に彼女は結婚したり海外へ行ったりするなど、プライベートでも復帰を遅らせるできごとがありました。そして何よりも女優としての確かな演技力と、どこか強気なキャラという“ブレない芯”があったのです。だからこそ、彼女はもう一度ここまで登ってこられたのだと思います。

この事象といまの香里奈さんを比較してみると、彼女は女優なのかファッションモデルなのかがちょっとわからない。そうやって考えると、実は香里奈さんの立ち位置は器用貧乏ともいえるのかもしれません。それがいまになって、よくない面を見せている気がします。

これは芸能人に限らず、私たち一般人にも当てはまる話です。何かの道を進んで壁にぶつかったとき、マルチな器用貧乏よりも不器用でも一芸が光る人のほうが突破口を見つけやすいということが多々あるものです。

1月ドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系)で主演を務めている香里奈さん。彼女がここで再浮上を図るためにいま必要なのは、女優かモデル、どちらかに絞って芸を磨くこと。綺麗なだけの三十路のあなたに、芸能界での居場所はないでしょう。