再来日のスコセッシ監督!

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 マーティン・スコセッシ監督が16日、遠藤周作の小説を映画化した『沈黙-サイレンス-』を引っさげ昨年10月ぶりに再来日し、都内で行われた来日記者会見に出席。スコセッシ監督は、舞台となった日本で本作の完成を報告することに「夢が叶った」と笑顔を見せた。

 巨匠スコセッシ監督が、28年もの歳月をかけて映画化した本作。17世紀、江戸初期の長崎を舞台に、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師(リーアム・ニーソン)の真実を確かめるため、日本に渡った若きポルトガル人宣教師(アンドリュー・ガーフィールド)が目撃した隠れキリシタンの苦悩と惨状を通して、人間にとって本当に大切なものは何かを問いかける。

 昨年10月、高松宮殿下記念世界文化賞の演劇・映像部門を受賞し来日した際には、本作が完成していなかっただけに、スコセッシ監督は「今回、東京にやってくることができて、そして積年の思いでやっと完成させることができました。日本のみなさんに本作を受け入れてもらうことができて夢が叶ったという思いであります。本当にありがとうございます」と喜びをにじませる。

 念願となった本作で描かれるテーマについて「否定するのではなく、受け入れることを描いた映画です。とくにこの作中で(窪塚洋介演じる)キチジローというキャラクターが『この世の中において、弱きは生きる場があるのか』というようなことを言いますけど、まさにこの作品は、弱きをはじかずに包容してあげるということを言っているんだと思うんです」と熱弁。

 そして、そんな本作が今年公開されることになったことに思いを馳せ、「現代において一番危険にさらされているのは、若い世代の皆さんだと思います。今、あるいは最近生まれた子供は、勝者が歴史を勝ち取っていく、勝者が世界を制覇していくというところしか見ていないわけですよね。それしか知らないっていうのは、とっても危ないことだと思っています。それしか知らなければ、世界のからくりはそういうものだと思うわけですから」と前のめりになりながら指摘。「物質主義的になり、かなり技術が進んだ世界になっていますが、そういう世界でこそ、何かを信じたいという人の心について真剣に考えることが大事だと思います」とつづけた。

 この日は、今も長崎でかくれキリシタンの伝統を受け継ぎ信仰を続けている村上茂則さんも登壇。先月、本作を長崎の試写会で鑑賞したといい、「感情を露わにさせるような映画でした」と村上さんが感想を述べると、スコセッシ監督は「この映画が日本の文化、そして日本にいたキリシタンのみなさんの勇気をそこなうことのないように描いたつもりです。そうなっていればいいです。忠実に敬意をもって、共感と慈悲心を持って描こうと力の限りを尽くしました」としみじみ話した。(編集部・石神恵美子)

映画『沈黙-サイレンス-』は1月21日より全国公開